「在職中の転職活動 進め方」——この言葉で検索しているあなたは、今の仕事をこなしながら転職活動を進めたい。でも、体力的にも精神的にも「本当にできるのか」という不安がある。30代後半・人材業界10年・元フリーター・絶賛複業家のぽんこつ先輩です。
結論から言います。在職中の転職活動は、消耗します。これはしょうがない。でも、消耗の仕方にはうまいやり方とまずいやり方があって、まずいやり方を選ぶと本業も転職活動も両方崩れます。僕自身も働きながら転職活動をやった経験があって、最初はまずいやり方をしっかり踏んでいます。その失敗も含めて、人材業界10年の目線から書きます。
「在職中に転職活動って、きつくないですか?」——本当のことを言うと、きついです。ただ、退職してから動くともっときつくなる。今日はその構造と、消耗を最小限にするための3原則を、できるだけ具体的に書きます。5分、付き合ってください。
結論:在職中の転職活動は消耗する。でも退職してから動くともっと消耗する
最初にこれをはっきり言っておかないと、読んでいて気持ちが揺れるので先に書きます。
在職中の転職活動は消耗します。消耗しない方法は、ありません。本業をこなしながら、書類を書いて、エージェントと面談して、平日に面接に行く。これは普通に疲れます。精神力も削られます。だから「在職中 転職活動 きつい」と検索されるわけで、あなたの感覚は正しい。
ただ、退職してから転職活動を始めた人が楽かというと、そんなことはありません。
収入がない状態での活動は、焦りが生まれます。焦ると判断が雑になる。「早く決めなければ」という気持ちが、本来断るべき求人への妥協につながります。退職後活動の経済的・精神的コストは、在職中の物理的消耗と同じくらい、あるいはそれ以上です。
厚労省の令和2年転職者実態調査(2020年実施で、2026年5月時点での最新の公表値)によると、離職期間なしで転職した人は転職者全体の約26.1%にとどまり、それ以外の約74%は何らかの離職期間を経て転職しています。
多数派だから正解、というわけじゃないですが、退職後に動く人が多いのにはそれなりの事情があります。「在職中はきつくて無理」と判断した人たちが多数派側に流れている。ただ、収入が維持されている状態で動ける在職中の方が、焦らずに「本当にいい求人」を待てるのは事実です。焦りが少ない分、妥協しにくい。これは数字があるわけじゃなくて、人材業界にいた実感として言っています。
この記事で伝えたいのは「在職中でもできる」という根性論じゃなくて、「消耗を構造的に減らす段取りを作れば、在職中でも回せる」ということです。
この記事でわかること
- 在職中転職活動の「3大きつさ」とやらかしやすいパターン
- 消耗を減らす3原則(並行3社以内・エージェントに日程調整・動く週と休む週の使い分け)
- 平日面接をどうやって乗り切るか、実務的な方法
- 在職中か退職後か、人材業界10年が正直に言う判断基準
在職中転職活動の3大きつさ——僕がやらかした消耗パターン
まず、在職中に転職活動をするとどこで消耗するかを、正直に書いておきます。「きつさ」の正体を知らずに動き始めると、どこかで力尽きます。人材業界にいる僕が実際にやらかしたパターンも含めて。
きつさ1:平日の面接をどこで確保するか問題
在職中の転職活動で、いちばん現実的な壁がここです。企業の面接は、今でも平日の日中に設定されることが多い。「土日に面接できます」という企業はゼロじゃないですが、求人全体から見ると少数派です。
有給を使うか、昼休みを使うか、早退・遅出で調整するか。どれも「なぜ休んでいるか」を会社に知られるリスクと背中合わせです。特に小さい会社で「有給取る=珍しい」という環境だと、そこだけでストレスになります。
僕が最初にやらかしたのは、有給の理由を「病院」と言い続けて、それを誰かに話してしまったこと。嘘の上塗りは本当に消耗します。最初に「病院に行く用事があって」と言った相手が、後日「体の具合はどうですか?」と聞いてきた。嘘の上塗りをしながら「あれは定期健診の話です」と誤魔化した。そのやりとりの後、なぜか自分がものすごく疲れていた。転職活動の疲れじゃなくて、嘘をついている疲れです。
平日の面接をどう確保するかという実務的な話は、後のセクションで書きます。でもここで言いたいのは、面接枠の問題より、心理的な「嘘のコスト」の方がじわじわ消耗するということです。面接回数が増えるほど、嘘の数も増える。その重さが、3ヶ月目に効いてくる。
きつさ2:書類・準備作業が全部「残業後」になる
書類選考用の職務経歴書、各社ごとの志望動機、面接準備——これらは全部、本業が終わった後の夜や休日にやるしかありません。
最初は「週末にまとめてやろう」と思うんですが、週末に気力が残っていない。月曜から金曜まで本業を走って、土日に面接準備をして、また月曜が来る。このサイクルが続くと、3ヶ月目あたりで本業のパフォーマンスが目に見えて落ちてきます。経験ある人、わかると思います。
僕が一番ひどかった時期は、夜23時に職務経歴書を書いていて、翌朝の会議でボーッとしていた。上司に「昨日、何かあった?」と聞かれて「ちょっと寝つけなくて」と誤魔化した。それもまた嘘でした。
しかも、複数社の選考を同時に進めていると、各社への準備が追いつかなくなる。「面接でしどろもどろになった」「志望動機をその場で考えた」という最悪のパターンに陥ります。ある面接では、担当者に「うちの会社の特徴って、どんなところだと思いますか?」と聞かれて、頭の中が真っ白になった経験があります。前夜に3社分の事前準備をしようとして、途中で寝落ちしていたんです。準備してなかったやつの話をされた感じで、面接室の空気が微妙になった。落ちました。当然です。
この経験から分かったのは、準備の質を保てる会社数には、物理的な上限があるということです。「並行3社以内」という原則は、この実感から来ています。
きつさ3:会社にバレるかもしれないという慢性的な緊張感
これは物理的な疲れじゃなく、精神的な消耗です。有給を取るたびに「理由を聞かれないか」、面接でミスをするたびに「準備が足りなかったのはバレるからか」と、余計なことを考えてしまう。
転職活動中は、本業でも何かと「何かあった?」と見られやすい時期です。表情が暗くなる、仕事への集中が落ちる、有給が増える——敏感な上司や同僚には気づかれます。「バレたらどうしよう」という緊張感が、何ヶ月も続くのはきつい。
僕が一番まずかったのは、転職活動を始めて2ヶ月目に、仲のいい同僚に「最近なんか元気なさそうだけど」と言われたときです。ものすごく迷って、結局「ちょっと疲れてるだけ」と誤魔化した。その同僚はおそらく察していたと思います。後から考えると、その後の関係が少しぎこちなくなった。バレたかどうかより、「バレてるかもしれない」という状態が長く続く方がつらい。
慢性的な緊張感の正体は、「いつ指摘されるか分からない状態」です。バレた瞬間は怖いかもしれないですが、バレてない状態の不安は毎日続く。その積み重ねが、4ヶ月後の燃え尽きにつながります。
ただ、これは段取りでかなり緩和できます。次のセクションで書きます。
消耗しない段取りの3原則
きつさの正体がわかったところで、本題です。在職中の転職活動を回すための3原則を書きます。どれも「精神力で乗り越えろ」じゃなく、構造を変える話です。
原則1:並行する会社は3社以内に絞る
これ、業界の外からだとなかなか伝わりにくい話なんですが、業界人視点では当たり前の原則です。
在職中の転職活動で、同時に5社・10社の選考を動かそうとするのは、ほぼ確実に破綻します。理由は単純で、1社あたりの面接回数は平均2〜3回あります。5社なら最大15回の面接。平日の昼間に15回の枠を確保しながら本業をこなすのは、体力的に不可能です。
さらに問題なのは、準備の質です。同時に5社の志望動機を頭に入れながら、各社ごとに面接の回答を変えて、しかも本業のプレゼンも並行する——これをやると、面接で「あれ、この会社の強みって何でしたっけ」という状態になります。僕も経験があって、これは本当に恥ずかしい。
実際、僕が6社同時進行していたときは、ある面接の冒頭で「本日はご応募いただきありがとうございます。当社を知ったきっかけは何でしょうか?」と聞かれて、2秒ほど固まりました。どのエージェント経由だったかが瞬時に出てこなくて。その2秒の間に担当者の顔が微妙に曇ったのを今でも覚えています。
3社以内に絞る理由は、もう1つあります。会社にバレるリスクが減るからです。同時に多数の選考を動かすと、有給を取る頻度が上がります。頻度が上がれば、気づかれる確率も上がる。3社以内に絞って、順番に動かす方が、物理的に安全です。
「でも3社しか受けなかったら、全部落ちたらどうするの?」という不安があると思います。気持ちはわかる。ただ、現実的に言うと、6社同時に準備不足で受けるよりも、3社を丁寧に準備して受ける方が、内定獲得率は高いです。量で勝負しようとして全部準備不足になるか、質で勝負して通過率を上げるか。在職中に限っては、量より質の戦略が正解です。
3社を終えて、全部落ちるか内定を断った場合は、次の3社を選べばいい。その方が、精神的にも体力的にも持続できます。在職中の転職活動は短距離走じゃなくて、ペース配分が必要な中距離走です。
原則2:面接日程の調整はエージェントに代行してもらう
転職エージェントを使う最大の実利は、実は求人紹介じゃありません。面接日程の代理調整です。これは意外と知られていないんですが、業界の人間から見ると「エージェントを使う一番の理由がここ」と思うくらい大事なポイントです。
企業と直接やり取りしていると、日程調整は「担当採用者との往復メール」になります。「この日はどうですか?」「その日は別の候補者の面接が入っていて……」という何往復もするやり取りが、在職中の人間には地味に消耗します。本業の合間にメールを確認して、返信して、また返信が来て——これを3社分やっていると、1日のうちのかなりの集中力を消費します。しかも本業中にメールを見ているのを同僚に見られると、それはそれで気まずい。
エージェントが間に入ると、「朝9時からなら面接できます」「昼休みの12時〜13時で設定したい」「夕方18時以降を希望」という希望をまとめてエージェントに伝えるだけで、向こうが企業と調整してくれます。あなたが企業と直接やり取りする必要がない。
さらに、エージェントは企業との関係値があるので、「この候補者は在職中なので少し時間調整をお願いしたい」という交渉を企業にしやすい立場にあります。直接応募だとこの交渉はしにくい。エージェント経由だと、オンライン面接・早朝・昼休み・夕方といった融通が利きやすくなるケースが増えます。
僕が最初に転職活動を立て直したとき、「エージェントを通す」に切り替えた途端、日程調整のストレスが体感で半分以下になりました。「今週の水曜13時が候補です」という連絡が来るだけで、あとは「OK」か「別の日で」とだけ返せばいい。それだけで全然違う。この差は、実際にやってみないと伝わりにくいです。
「エージェントとのやり取り自体がめんどくさい」と感じる方もいると思います。それも正直な感覚で、そのあたりは 転職エージェントの面談がめんどくさい人へ で詳しく書いているので参考にしてください。ただ、在職中であれば、面接日程代行のメリットがそのめんどくささを上回る可能性が高いです。
原則3:「動く週」と「休む週」を意識的に使い分ける
在職中の転職活動は、長期戦です。一般的に言われる目安は、活動開始から内定獲得まで4〜6ヶ月程度。その間、ずっと全力で動き続けることは、人間の体力的に無理です。
「今週は応募書類を仕上げる週」「来週は本業に集中して転職活動は一旦止める週」という使い分けをやらないと、4ヶ月目で燃え尽きます。これは精神論じゃなくて、物理的な話です。
具体的には、月の前半に書類作成・応募、後半に面接というサイクルを作ると、本業の繁忙期と重なりにくくなります。自分の会社の忙しいタイミング(月末締め、四半期末、大型プロジェクトのピーク)を把握して、そこは転職活動を軽くする。そうでない週に集中して動く。
もう少し細かい話をすると、僕が立て直してから実際にやったのは「土曜の午前中だけ」に転職活動の時間を固定することでした。土曜の10時から12時の2時間は転職活動に使う。それ以外の時間は転職のことを考えない。この「考えない時間を作る」という決め方が、思いのほか効きました。
もう1つ実践的な話をすると、転職活動に使う時間帯を決めておくことです。「毎日21時〜23時の2時間だけ転職活動する」と決めると、それ以外の時間に「今日も何かやらなきゃ」という罪悪感が消えます。時間を決めると、メリハリが生まれる。メリハリが消耗を防ぎます。
「休む週を作ると、選考が止まってしまわないか」という心配もあると思います。でも、書類応募したら選考に1〜2週間かかることが多いので、応募した翌週に休んでも問題ありません。面接が入れば動けばいい。「完全に何もしない週」ではなく「攻めを止めて守りに入る週」という感覚で切り替えると、無理なく続けられます。
実は、この「動く週と休む週」の使い分けには、もう一つ効果があります。本業でのパフォーマンスが安定します。転職活動を毎週フルで動かしていると、本業の会議中や業務中に「あの会社の面接どうしよう」という思考が頭の片隅に常駐する状態になります。これがじわじわ集中力を奪う。休む週を意識的に作ることで、「今週は本業だけを考えていい」という切り替えができて、本業の質を維持しやすくなります。転職活動中に本業の評価が下がるのは、最悪のパターンです。引き止めの材料にされたり、職場に転職を疑われる原因になったりする。本業を守ることは、転職活動を守ることでもあります。
平日の面接、どうやって乗り切るか
消耗しない段取りの3原則と並行して、最も具体的な悩みに答えておきます。平日の面接をどう確保するか、実務レベルの話です。
有給を使う場合:理由は「私用のため」でいい
有給休暇の申請理由について、会社に詳しく告知する義務は原則としてありません。「私用のため」と書けば、会社が理由を問い詰めることは基本的にできない仕組みになっています(ただし、会社の就業規則や慣習によっては事前申請が必要なケースもあるので、自社の規則を確認してください)。
「病院」や「家族の都合」という理由を使う人も多いですが、嘘の理由を使い続けると管理コストが増えます。誰かに話してしまったとき、前に言った内容と整合性が取れなくなる。「私用」は実際に真実なので、余計な嘘をつく必要がありません。
「私用って言って大丈夫なの?」と思う方もいると思います。大丈夫です。むしろ「病院です」「家の用事です」と詳細な理由を言った方が、後で整合性が取れなくなるリスクが高い。「私用」という二文字の方が、シンプルで安全です。
有給消化率が低い職場で、急に有給を取り始めると目立ちます。そういう環境なら、「なんとなく有給を取る習慣」を事前に作っておくのが有効です。転職活動を始める前から、月に1〜2日は普通の私用で有給を使っておくと、面接のための有給が目立たなくなります。先手を打つ話です。
ただし、有給が少ない会社や、有給取得自体が難しい職場環境では、次に紹介するオンライン面接・昼休み面接の活用が現実的な選択肢になります。有給の消費は計画的に、本当に必要な面接のために取っておく。消耗を防ぐための有給戦略です。
オンライン面接・昼休み面接を積極的に活用する
コロナ以降、採用面接のオンライン対応が定着しました。これは在職中の転職活動者にとって、かなり大きな追い風です。オフィスに出向く必要がなくなるので、移動時間がゼロになります。
会社でリモートワークができる職場なら、昼休みの1時間を使ってZoomで面接を受けることも不可能ではありません。実際、最近の面接では「昼休みでお願いしたい」という候補者を企業側も普通に受け入れています。
エージェントに「できれば昼休みかオンラインで設定してほしい」と最初に伝えておくと、企業との日程調整でその希望を反映してくれます。「在職中だから面接時間の融通が利きにくい」という事情を最初から伝えておくのが、無駄な消耗を防ぐコツです。
「昼休みの面接って、準備がない状態で受けることになりませんか?」という疑問もあると思います。準備は前夜にやっておくことになるので、昼休み面接だから特別に準備が少なくなるわけじゃない。ただ、移動がない分、昼休みの12時になったらすぐ接続できるので、体力の消耗は少なくなります。スーツに着替える必要もないし、交通費もかからない。
ただし、オンライン面接にも一つ注意点があります。場所の確保です。会社のデスクで受けることはまずできないので、近くのカフェ、会議室の空き枠、駐車場の車の中など、静かで声が漏れない場所を事前に確認しておく必要があります。特に昼休みは他の人もカフェを使うので、個室のある場所を探しておくと安心です。
半日有給・フレックス・遅出を組み合わせる
全日の有給を取らなくても、半日有給やフレックス制度を使うと、午前中だけ・午後だけの面接に対応できます。フレックス制度がある職場なら、「その日だけ10時出社にする」という調整もできます。
1回の面接で全日有給を消費するのは、長期戦では消耗します。できるだけ半日の調整で済む面接時間帯を選ぶと、有給の消費を抑えられます。エージェントに「できれば15時以降に設定してほしい(遅出に合わせて)」という希望を出すのも有効です。
僕が立て直してからやったのは、エージェントへの「希望時間メモ」の共有でした。「月・水・金の15時〜18時が調整しやすいです。火・木は本業の定例会議があるので避けてほしいです」という自分のスケジュール感をまとめて最初に伝えた。そうすると、エージェントが企業に提案する時間帯がその範囲に絞られてくる。やり取りの往復回数が減りました。
会社にバレるリスクを下げる3つの行動
バレるリスクを完全にゼロにすることはできませんが、下げることはできます。
- 転職情報サイトのプロフィールを非公開にする:リクナビNEXTやdodaなどの転職サイトに登録する場合、現在の勤務先には非公開設定にできる機能があります。これを必ず使ってください。同業他社への転職の場合、担当者が同業のサービスを使っているケースがあります。
- SNSで転職活動の話をしない:当たり前に聞こえますが、Xや職場の人間関係の中で「転職を考えている」と匂わせる発言は厳禁です。職場の人間と繋がっているSNSには特に注意。
- 面接当日の格好に気をつける:スーツ通勤でない職場でスーツを着ていくと目立ちます。面接の会場で着替える、コートで隠せる格好にするなど、一工夫が必要です。
ちなみに、面接当日の格好問題については、「ロッカーがある施設(コインロッカー・カフェ)に寄ってから面接会場に向かう」という方法が現実的です。会社を私服で出て、途中で着替えてスーツで面接を受ける。これをやると、出社時に周囲にスーツ姿を見られるリスクがほぼなくなります。手荷物が増えて大変ですが、バレるリスクを下げる投資だと思えば許容範囲です。
なお、転職活動が会社にバレる原因と対策 で詳しく解説しているので、バレることへの不安が強い方はそちらも参考にしてください。
在職中か退職後か——人材業界10年が正直に言う
「それでも在職中はきつい。退職してから動いた方がいいんじゃないか」と考えている人のために、正直に整理しておきます。
退職後に動く方がいいケース
退職後の転職活動が有利に働くケースは、実際にあります。
- 体調・メンタルがすでに限界に近い:今の職場でのストレスが深刻で、本業を続けながら転職活動する余裕がない場合。無理をして本業でのパフォーマンスが落ち、評価が下がることの方がリスクになります。
- 転職に時間がかかる職種・業種を狙っている:コンサル・ファンド・外資上位など、選考プロセスが長く複雑な求人を複数受ける場合。在職中に並行するのは物理的に難しいことがあります。
- 3〜6ヶ月分の生活費が確保できている:退職後の転職活動が焦りなく進むのは、生活費の見通しが立っているときだけです。貯金が3ヶ月分以下の状態で退職するのは、かなりリスクが高い。
体調・メンタルが本当に限界なら、在職中での活動にこだわる必要はないです。体が資本で、体を壊してしまったら転職活動どころじゃなくなる。そこは正直に自分の状態を見てほしいです。
「自分は限界かどうか」の判断が難しいという方へ、一つだけ目安を言います。休日に「何もしたくない」という日が月に2週以上続いているなら、かなり消耗しています。もしくは、仕事のことを考えると身体的な症状(頭痛・胃の不調・眠れない)が出るなら、その状態での在職中活動は無理をしすぎです。「しんどいけど耐えられる」と「限界に近い」の境界線は人それぞれですが、自分の体のサインを無視しないことが大事です。
在職中に動いた方がいいケース(多くの人はこちら)
正直に言うと、多くの人は在職中に動いた方がいいです。理由は主に3つです。
1つ目、収入が維持された状態で転職先を選べることです。これは精神的な余裕に直結します。「早く決めなきゃ」という焦りがない状態の方が、企業との条件交渉でも強い立場に立てる。
2つ目、企業側が在職中の候補者を好む傾向があるからです。採用担当から見ると「今も働いている人」は「現職で求められている人」というシグナルになります。これは全社的な傾向ではないですが、業界によっては在職中かどうかを気にする採用担当が一定数います。
3つ目、転職活動の期間が読めないからです。一般的に言われる目安では4〜6ヶ月ですが、希望条件が高めだったり、業界の採用状況によっては1年近くかかるケースもあります。退職してから1年、収入なしで活動するのは経済的・精神的にかなり過酷です。
人材業界の人間として言うと、「よほどの理由がない限り、在職中に動く」が原則です。きつさは段取りで減らせますが、収入ゼロのプレッシャーは段取りで減らせません。
「在職中に辞めたいほどきつい職場」という場合
「本当にきつくて、もう限界に近い」という状態で在職中の転職活動をしている方もいると思います。それは消耗の種類が違います。ただの忙しさじゃなく、今の職場にいること自体が精神的なダメージになっているケースです。
そういう状態では、「3社に絞って丁寧に」という余裕がない場合もある。「とにかく早く脱出する」という目的が優先されるなら、退職後に動く選択肢も現実的です。ただそれでも、できれば在職中に1〜2社だけでも動き始めて、内定の見通しが立ったタイミングで退職する方が、着地が安定します。
「今の職場が嫌すぎて、どこでもいいから早く出たい」という気持ちになるのはわかります。でも、「どこでもいい」という状態で転職すると、転職先でも同じパターンを繰り返す可能性が高い。転職は目的地を選ぶ行為であって、逃げ場を探す行為ではない——というのは理屈では分かっていても、今の職場がしんどいと難しいですよね。それでも、1社だけでいいので「行きたい理由がある会社」を選んでから動いた方がいい。そこだけ、大事にしてほしいです。
エージェントを使うと、在職中の転職活動はここまで変わる
転職エージェントを使うと、在職中の転職活動の負担は構造ごと変わります。日程調整・書類作成・フィードバック取得、これらを一人でやろうとすると在職中は時間が足りない。そこを肩代わりしてくれるのがエージェントの最大の実利です。
エージェントが在職中の活動者を助けてくれる4つのこと
① 面接日程の代行調整(最大のメリット):前述しましたが、これが一番大きい。企業との往復メールがなくなります。
② 応募書類の添削とフォーマット提供:職務経歴書のゼロから作成は意外と時間がかかります。エージェントのフォーマットを使って、添削してもらうと、作成の工数が大幅に減ります。特に、ぽんこつ先輩みたいに「文章を書くのが苦手」という人には、プロが赤を入れてくれるのはかなりありがたい。僕が最初に使ったエージェントで返ってきた添削は、自分の職歴の「見せ方」を全部変えてくれていました。同じ経験でも、書き方次第で全然違う印象になるんだと学んだ瞬間でした。
③ 選考後のフィードバック取得:直接応募で落ちると、理由が分かりません。エージェント経由だと、企業側のフィードバックを担当者が取得してくれることがあります(必ずしも取れるわけではないですが)。次の選考に活かせる情報です。
④ 非公開求人へのアクセス:転職サイトに掲載されていない非公開求人は、エージェント経由でないと見られません。競争倍率が低い求人に当たれる可能性があります。
エージェントは無料で使えます。登録して面談するだけでも、自分の市場価値と今の転職市場の感覚がつかめます。転職するかどうかは後で決めればいい。まずは話を聞いてみるだけ、という使い方も十分アリです。
エージェントを使う上での注意点
エージェントは基本的に便利ですが、注意点も正直に書いておきます。
エージェントは成功報酬型のビジネスモデルです。転職者が入社して初めて、企業から報酬が入る仕組みです。手数料の相場は転職者の年収の30〜35%が一般的で、ハイクラス採用では40%を超えることもあります。大手は非公開のケースも多く、数字は各社で異なります。
つまり、担当者はあなたを入社させることに利害関係があります。あなたにとって最善の判断と、担当者の利益が完全に一致するとは限らない。「この会社に絶対行くべきです」という強い推しがあるときは、その会社のどこが本当に自分に合っているかを冷静に考える必要があります。
「エージェントに勧められた会社は、本当に自分に合ってるのか?」という疑問は、ちゃんと持ち続けた方がいいです。担当者を信頼しつつも、最終判断は自分でやる。エージェントは手段であって、決定権は自分にある——この感覚を忘れないことが大事です。
複数のエージェントを使い比べることで、この問題は緩和できます。「A社のエージェントはこの求人を勧めてくる。B社のエージェントはどう言うか」と比較できるからです。複数登録については エージェントのめんどくさい面談との付き合い方 でも触れています。
在職中活動の方にエージェントを選ぶポイント
在職中に転職活動をする人が、エージェントを選ぶときに見てほしいポイントを2つだけ書きます。
1つ目:オンライン面談・土日対応をしているか。担当者との面談自体が平日日中にしか設定できないエージェントは、在職中の人には使いにくい。最初の登録時点で「オンライン・平日夜・土日でも面談できますか」と確認してください。
2つ目:あなたの職種・業種に強みを持つエージェントか。総合型の大手エージェントは求人数が多い半方で、担当者の業界知識が薄いことがあります。自分の業界に特化したエージェントも並行して使うと、求人の質が上がりやすいです。
具体的にどのエージェントを選べばいいかは、 AI時代に本気で選ぶ転職エージェントおすすめランキング で業種・状況別に整理しています。在職中での転職活動を前提に、使いやすいエージェントを探してみてください。
ぽんこつ先輩の実体験——働きながら転職活動した3ヶ月の話
最後に、少し個人的な話を書きます。
元フリーターだった僕が初めて転職活動をしたのは、当時の職場でそれなりに忙しい時期でした。「在職中に動く」と決めたものの、最初は原則を全部破るところから始めました。
同時に6社に応募したのは、「多く受ければどこかに引っかかるだろう」という浅い考えからでした。転職活動を甘く見ていたとも言えるし、不安から来る行動だったとも言えます。「1社しか受けてなくて全部落ちたらどうしよう」という焦りが、手当たり次第の応募につながった。
同時に6社に応募して、準備が追いつかなくなって、1社で面接中に志望動機がとっさに出てこなかった。有給の理由をいくつか使い分けて、同じ相手に前回と違う理由を言ってしまった。面接の日程調整を自分で全部やっていて、週に何度もメールを確認しながら本業の会議に出席して、何も頭に入らなかった。
2ヶ月目には、週6日動いている感覚でした。月〜金は本業で走って、土日は面接準備と応募作業。「休む」という時間が消えていた。でも、これをやっていれば転職できると思っていたので、止まれなかった。
3ヶ月目に入ったあたりで、本業で明らかなミスを出しました。「転職活動中なんじゃないか」と上司に半分気づかれました。その日の帰り、電車の中で「どっちも中途半端になってる」とはっきり気づいて、気持ちが折れかけました。
そこで一度立て直して、応募を3社に絞り直して、エージェント経由の日程調整に変えて、土曜の午前中だけに転職活動の時間を固定しました。そこから1ヶ月半で内定が1社出ました。
正直に言うと、立て直してから内定が出るまでの1ヶ月半は、最初の3ヶ月より全然楽でした。週のほとんどを「転職のことを考えない」状態で過ごしながら、土曜の2時間に集中して動く。こっちの方が、準備の質も高かった。面接でしどろもどろになることもなかった。
あの3ヶ月の消耗は、やり方を変えればもっと短くできた部分があったと今は思います。消耗が全くゼロになることはないですが、段取りで半分以下にはなります。このブログを読んでくれているあなたには、僕のような回り道をせずに進んでほしい。
怖くて踏み出せないのは、情報が足りないからだと思います。足りてる状態で動き始めると、最初の一歩が軽くなる。今日の記事がその一助になれば、それで十分です。
なお、転職活動全体の流れや、AI時代における転職の考え方を先に整理したい方は AI失業時代を生き残るための完全ガイド から読むと、今の活動の位置づけがつかみやすくなります。
まとめ:消耗しない段取りを整えてから動く
在職中の転職活動について、書いてきた内容を整理します。
消耗しない段取り3原則
- 応募は同時に3社以内。量より質で、準備を丁寧にやる
- 面接日程の調整はエージェントに代行してもらう(最大のメリット)
- 「動く週」と「休む週」を意識的に使い分けて、長期戦を設計する
平日の面接対処法
- 有給理由は「私用のため」でOK(原則として告知義務なし)
- オンライン面接・昼休み面接・半日有給を組み合わせる
- バレ対策:転職サイトは現在の勤務先に非公開設定、SNSに匂わせない
在職中か退職後か
- 基本は在職中に動くのが正解。収入のある状態での転職が安心できる
- 体調・メンタル限界・貯金3ヶ月以上あるなら退職後も選択肢
在職中の転職活動は消耗します。それを認めた上で、消耗の仕方を変えることはできます。
「怖いと感じてるうちは、まだ間に合います。」——本当にヤバいのは、何も感じないまま何もしないことです。今の環境でいいのかなと思い始めているなら、それが動くタイミングのサインです。
まず、エージェントに相談してみるだけでいい。登録は無料で、15分もあれば終わります。転職するかどうかは後から決めればいい。今の自分の市場価値がどのくらいかを知るだけでも、見える景色が変わります。
― ぽんこつ先輩
在職中の転職活動、よくある質問
Q. 在職中の転職活動はどのくらいの期間がかかりますか?
一般的に言われる目安では、活動開始から内定獲得まで4〜6ヶ月程度です。これはあくまで目安で、希望する職種・業種の採用市場の状況や、応募する企業の数によって大きく変わります。厚労省の令和2年転職者実態調査によると、転職活動開始から前職退職までの期間は「1ヶ月以上3ヶ月未満」が28.8%で最多です。ただしこのデータには退職後に活動した人も含まれています。在職中に動く場合は、並行できる企業数が限られるため、目安より長めになる可能性があります。余裕を持った計画を立てておくのが安全です。
また、在職中の活動では「動く週と休む週の使い分け」が長期戦のカギです。4〜6ヶ月を全力で走り続けると燃え尽きます。最初から「6ヶ月かかるかもしれない」という前提でペースを設計しておくと、3ヶ月目に折れにくくなります。
Q. 転職活動が会社にバレたらどうなりますか?
転職活動をしていること自体は、法律的に問題ありません。就業規則に「転職活動の禁止」を記載している会社はほぼなく、活動を理由に解雇や降格を行うことは原則として難しい立場にあります。現実的なリスクとしては、上司との関係が気まずくなる、引き止めが始まる、最終的な昇給・昇進の評価に影響が出るといったことが考えられます。バレること自体より、バレた後の対応の仕方の方が重要です。
「バレたとしても、なるべく穏やかに着地したい」という場合、一番大事なのは「転職活動していることは事実として認め、今の仕事には誠実に向き合っている」という姿勢を見せることです。転職活動を隠し通そうとして、本業のパフォーマンスが落ちることの方が、より評価に影響します。詳しくは 転職活動が会社にバレる原因と対策 をご覧ください。
Q. 土日に面接できる企業はありますか?
あります。ただし、求人全体から見ると少数派です。土日面接に対応している企業は、主にベンチャー・スタートアップや、常時採用を行っている企業が中心です。大手企業や外資系は土日面接に対応していないケースが多いです。エージェントに「できれば土日か、平日の夕方以降に面接を設定したい」と事前に伝えておくと、その条件に合う企業の求人を優先して紹介してもらいやすくなります。
オンライン面接の場合は時間帯の融通が利くことが多いので、そちらも活用してください。「土日に面接できる会社だけを受ける」という戦略は、求人の選択肢を狭めすぎるのでおすすめしません。それよりも、平日の昼休み・夕方・有給の組み合わせで対応できる体制を作る方が、選択肢が広がります。
Q. 転職エージェントを使うと本当に日程調整が楽になりますか?
なります。在職中の転職活動者にとって、エージェントの最大の実利の1つが日程調整の代行です。企業との往復メールがなくなり、「昼休みで設定したい」「夕方18時以降がいい」という希望をまとめてエージェントが調整してくれます。ただし、エージェントの担当者の質や、対象企業との関係性によって、どこまで融通が利くかは変わります。
エージェントに最初の面談で「在職中で日程調整が難しい」と正直に伝えておくと、その後の連携がスムーズになります。「昼休みの12時〜13時が一番助かります」「週に面接は1回が限界です」といった自分の制約を最初から伝えておく。これをやるかやらないかで、エージェントの動き方が変わります。複数のエージェントに登録して比べてみるのが、最初の一歩としてはおすすめです。
