「ぽんこつ先輩、ITパスポートって取る意味あります?」
会社の後輩からこれ聞かれて、正直ちょっと黙ったんですよ。だって俺自身、人材業界10年やってきて、履歴書でITパスポートの欄見ても、これまで特に何とも思ってこなかったから。「ふーん、まあ持ってるんやな」レベル。
でも、最近の動きを調べ直して、ちょっと考えが変わりました。
結論から言いますね。ITパスポートはAI失業を防ぐ盾にはなりません。これだけで安泰な未来が買えるわけじゃない。ただし、AI時代に「IT会話の輪に入る権利証」としてはガチで有効になってきてる。しかも、2027年に試験制度が大きく変わるので、取るなら今のうちが圧倒的にラクなんです。
30〜45歳の事務・営業・経理職、つまりこれまでIT周りを情シスに丸投げしてきたタイプのおっさん(俺含む)にとって、これは「最初の一手」として悪くない選択肢になってきました。
この記事では、人材業界10年のおっさん視点で、ITパスポートを「取った方がいい人」と「取らんでいい人」、そしてその理由を本音で書きます。
ITパスポートの今、受験者がガチで増えてる
まず数字を見てください。2025年度(令和7年度)のITパスポート年間応募者数、なんと307,266人。前年も30万人超。この国家試験、2009年スタートからずっと地味な存在やったんですけど、ここ数年で社会人試験のスタンダードに変貌してます。
もっと面白いのが、受験者の内訳。2025年度の社会人応募者は約22万人、そのうち非IT系企業の人が179,995人、IT系企業はわずか40,715人。社会人応募者の8割超が非IT系っていう、エンジニア試験じゃない国家試験になってるんですよ。
業種別で一番多いのが「金融・保険業、不動産業」で7万人超。職種別では「営業・販売(非IT関連)」が4.5万人。要するに、銀行員さんとか保険の営業さんとか、ぱっと見ITと縁遠い職種の人ほど受けてるんです(出典:IPA 令和7年度年間応募者数等)。
令和7年度の通年合格率は48.6%。半分は受かる試験です。ここだけ見ると「合格率高い=価値ない」って思いがちやけど、ちょっと待ってほしい。
IPA(試験を運営してる独立行政法人)の山北氏がエンジニアtypeのインタビューでハッキリ言うてました。
「ITパスポート試験は”エンジニアのため”に作られた試験ではなく、”社会人全体のITリテラシーを底上げするため”の国家試験」(出典:エンジニアtype)
つまり最初から「全社会人向け」として設計された試験。エンジニアからすると物足りないのは当然なんですよ。比較対象が違う。
「意味ない」って言われ続けた資格が、AI時代に化けた
ITパスポート、ぶっちゃけ昔は「持ってても意味ない」って散々言われてきた資格です。独占業務もない、合格率高い、エンジニアの実務スキルにもならない。検索すると今でも「ITパスポート 意味ない」って関連ワードがしっかり出てきます。
でも、AI時代になって、評価軸が完全にズレ始めました。
シラバスに生成AI関連用語がガッツリ追加された
2023年8月のシラバス改訂(Ver.6.2)で、こんな用語が試験範囲に正式追加されてるんです(出典:gihyo.jp テクノロジ系解説、ストラテジ系解説)。
- 大規模言語モデル(LLM)
- プロンプトエンジニアリング
- ファインチューニング、転移学習、過学習
- ハルシネーション、ディープフェイク
- 説明可能なAI(XAI)、ヒューマンインザループ
- プロンプトインジェクション攻撃、敵対的サンプル
- マルチモーダルAI、エコーチェンバー、フィルターバブル
正直に言います。俺がハルシネーションって言葉ちゃんと理解したの、去年です。ChatGPTが堂々と嘘つく現象のことやって知ったのも、人材業界10年やってきた中年になってから。これITパスポートに今出題されてるんですよ。
2024年4月以降の試験を受けてる新入社員さん、これらの用語を体系的に勉強してきてるわけです。会議で「これってハルシネーションのリスクありますよね」って言える人材、少なくとも「?」って固まらない人材になってる。これは地味やけど効きます。
「IT会話に入れる」だけで実は十分すごい
正直に言うと、ITパスポート取ったからってAIに仕事は奪われなくなる、なんてことはありません。資格1個で時代の波避けられたら、誰も苦労してない。
ただ、この資格の本当の価値って、たぶん別のところにあります。
事務職や経理職の体験談を読んでて印象的やったのが、こういう声です。「上層部が使うカタカナやアルファベット3文字の意味が理解できるようになった」「情報システム部門とのコミュニケーションが円滑になった」「未知のアプリケーションへの抵抗感がなくなった」(参考:事務職体験談、文系事務職体験談)。
これ、めちゃくちゃリアルな副次効果やと思いません? DX推進プロジェクトに呼ばれた時に話が通じる、情シスから来た要件メールがちゃんと読める、社内のITベンダーとの打ち合わせで黙らずに済む。ホワイトカラーの仕事って、こういう「会話に入れるかどうか」で社内価値がじわじわ決まっていくところがあります。
言ってみれば、ITパスポートは「IT会話の通行手形」。AIが業務に染み込んでる今、この通行手形がない人は、これから社内で重要な議論の輪から外されていく可能性が高い。これは資格としての価値というより、リスク回避としての価値です。
取った方がいい人、取らなくていい人
ここ、人材業界目線で正直に分けます。
取った方がいい人
- 30〜45歳で、これまでITは情シス丸投げしてきた事務・営業・経理職(俺の同類)
- 会社のDXプロジェクトに巻き込まれそう、または既に巻き込まれてる人
- 社内で情シスやITベンダーとの橋渡し役を担いたい人
- 会社が報奨金制度や昇格要件にしてる人(NECキャピタル、富士通、大阪信用金庫など多数。出典:IPA 活用事例)
- G検定やデータサイエンティスト検定の前の基礎固めとして
会社が受験料補助+合格報奨金くれるパターンは、もうやらない理由がないです。受験料7,500円が会社持ちで、合格すると数万円もらえる。そんなオイシイ国家資格、他にあんまりない。総務省も令和7年度から、職員の合否を問わず受験手数料全額補助を始めてます(出典:IPA 活用事例に総務省事例として記載)。
取らなくていい人
- すでにIT系業務に長年従事してるエンジニア・情シスの人(「知ってて当たり前」ゾーン)
- エンジニア転職を本気で目指してる人(基本情報技術者を直接狙うべき)
- 「資格より実務でAIを使い倒す」が明確にできてる人
履歴書の話だけすると、ITパスポートはエンジニア転職市場では正直、加点になりません。どっちかというと「持ってないと減点される最低ライン」扱い。ここで時間使うくらいなら、基本情報やAWS認定に行った方がいいです。
逆に非IT職種同士の転職、たとえば一般事務から経理事務、メーカー営業から不動産営業、こういう転職では地味に効きます。「ITリテラシーがある人材」っていう一行が履歴書に乗るので、書類選考で他の候補者より読み込まれやすくなる。これは採用支援の現場で見てきた肌感覚です。
G検定とどっちを先に取るべきか
「ITパスポートとG検定、どっち取ればいいんですか?」これもよく聞かれる質問です。
ざっくり比較するとこんな感じ(出典:アガルート G検定vs ITパスポート比較)。
| 項目 | ITパスポート | G検定 |
|---|---|---|
| 受験料 | 7,500円 | 13,200円(一般) |
| 合格率 | 約50% | 約65〜80% |
| 勉強時間 | 100〜180時間 | 30〜40時間(IT基礎前提) |
| 対象 | 全社会人 | AIをビジネスに使う人 |
| 出題範囲 | IT全般+AI基礎 | AI・ディープラーニング特化 |
表だけ見ると「あれ、G検定の方が勉強時間少なくて楽そうやん」って思いますよね。俺も最初そう思った。でもこれ罠です。G検定の30〜40時間ってのは「IT基礎が頭に入ってる前提」の数字で、ゼロベースのおっさんが挑むとAIモデルの話の前にIT用語で詰まります。実際俺、最初G検定の問題集チラ見して「APIってなんやっけ」で本閉じました。
俺の本音の順番はこれです。
IT知識ゼロのおっさんなら、ITパスポート→G検定の順。逆をやろうとすると、G検定の問題文に出てくるIT用語の意味が分からなくて2倍時間かかります。「クラウド」「サーバー」「API」あたりの基礎を整理してからの方が、AI領域の話がスッと頭に入る。
ただし、G検定とE資格の違いについては別記事で深堀りしてるので、AI資格を本気で考えてる人はそっちも読んでください(G検定 vs E資格、結論おっさんはG検定でいい)。E資格はおっさんには地獄やぞって話です。
2027年の試験大改革、取るなら今年中の理由
これ、ITパスポートを今すぐ受けるかどうかで一番大きい論点です。
IPAが2026年3月にプレス発表してるんですけど、ITパスポートを含む情報処理技術者試験は2027年度春から新試験制度に移行します(出典:IPA プレス発表 試験区分体系見直し)。
新制度で変わるポイント
- 出題区分が「ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系」から「ビジネス・テクノロジ・セキュリティ倫理」の3分野に再編
- 「データマネジメント試験(仮称)」が新設
- AI時代に対応したセキュリティ・倫理の出題が強化
- DXに必要なマインド・スタンスやデータマネジメントの基礎が新しく入る
新制度の方が今より実践的になるのは間違いないし、「最新の試験制度に合格した」っていう価値もあります。だから新制度を待つのも一つの手。
ただ、現実的に考えると、新制度への移行期は教材も対策法も手探りになります。過去問の蓄積もない。今のシラバス6.5は教材が腐るほどあって、過去問道場(無料、2,600問以上収録)で対策できる。「ラクに取りたいなら今、新制度に挑戦したいなら2027年以降」っていう選択になります(参考:ITパスポート過去問道場)。
俺の正直な意見:30〜45歳のおっさんが今から仕事の合間に勉強するなら、ラクな方を選んだ方がいいです。完璧な制度を待ってる間に、また1年経って、結局取らずに終わる未来が見えるから。これは経験則です(去年「英語やり直す」って言って単語帳3ページで止まってる俺の話)。
勉強時間とコスト、リアルなところ
最後に、現実的な数字をまとめておきます(出典:TAC 勉強時間解説)。
- 受験料:7,500円(税込)
- 勉強時間(IT知識ゼロの社会人):約180時間
- 勉強時間(基礎知識あり):100〜150時間
- 1日30分〜1時間 × 3〜4ヶ月が現実的なペース
- 会場:全国の試験会場で随時受験可能(CBT方式)
※この勉強時間はTAC(資格スクール)が出してる目安なので、商売上ちょい多めに見てる可能性はあります。実際は人によってブレるので「最大180時間覚悟しとけば足りる」くらいに思っとくのが安全。
正直、180時間って書いてあるのを見て、俺もちょっと腰引けました。「えぐっ」って声出ました。でも冷静に計算すると、平日30分+土日3時間で週8.5時間。それを5〜6ヶ月。考えてみれば俺がこの1年でNetflix流し見してた時間より、たぶん少ない。これに気づいた瞬間、なんか言い訳できなくなったんですよ。
勉強法は王道2パターン。
独学:参考書1冊+過去問道場。総額3,000〜5,000円で済みます。受験者コミュニティで頻繁に名前が挙がるくらい、過去問道場はスタンダード。シラバス6.5対応の参考書を選ぶこと(古い参考書だと生成AI関連が抜けてます)。
スクール:Udemy、スタディング、TAC等。総額1〜3万円。動画で体系的に学びたい人、独学だと続かない自信がある人向け。とくにスタディングはスマホ完結で隙間時間に進めやすい。
ここに関しては、無理してスクール使わなくていいと思います。ITパスポートは難易度的にスクール必須レベルじゃない。独学+過去問道場で30〜50時間やって、無理そうやったらスクールに切り替えるっていう順序が、財布にも優しいです。お金より、続けられるかどうかが本当の勝負やから。
もし「AI領域の勉強を本格的にやりたい」っていうフェーズに入ったら、AIスクールっていう選択肢もあります。給付金で実費が大幅に下がるパターンも多いので、独学で限界を感じたら検討してもいい段階です。
結局、取るべきか取らないべきか
ここまで散々書いてきましたが、最後にシンプルにまとめます。
30〜45歳の非エンジニアで、これまでIT周りを情シスに丸投げしてきた人。会社のDXに巻き込まれそうな予感がある人。社内で情シスとの会話に詰まってる自覚がある人。こういう人は、取った方がいい。
理由は資格そのものの価値というより、勉強プロセスで体系的にIT+AIリテラシーが入るからです。会議でハルシネーションって単語が出てきても固まらなくなる。プロンプトエンジニアリングって聞いて「あれね」って言える。これだけで、AI時代を生き残るための「議論の輪に入れる権利」が手に入ります。
もう一度言いますけど、ITパスポートはAI失業の盾にはなりません。これ取っただけで安泰な未来は買えません。でも、何もしないで「AIヤバいなあ」って言ってる状態より、確実に半歩前に進める。数ヶ月の勉強と7,500円で買える「最初の一歩」としては、コスパ悪くないと思います。
怖いと感じてるうちは、まだ間に合います。動かなくなったら終わり。今日、過去問道場のサイト開いてみてください。第1問目見て「あ、なんとなく分かるかも」って思ったら、もう半分勝ってます。
俺も今、シラバス6.5の問題を眺めてるところです。一緒に頑張りましょう。
