AIから逃げるために施工管理を選ぼうとしている人が、次に気にするのは移った先の安全性です。建設の分野にも技術は入ってきています。図面の自動チェック、写真の自動整理、工程の最適化。これらが進めば、結局そこでも人が要らなくなるのではないか。この疑いは正当です。この記事では、実際に何が自動化されつつあるのかを具体的に挙げ、そのうえで人が減らない理由を構造から説明します。
現場に入ってきている技術
すでに現場で使われ始めているものを並べます。
- 現場写真の自動仕分けと、書類への貼り付け
- 図面から必要な材料の数量を拾い出す処理
- 工程表の組み替えの候補を提示する仕組み
- 遠隔からの現場確認と、記録の自動保存
- 書類の作成をその場で終わらせるための端末
こうして並べると、置き換えが進んでいるのは記録と事務の部分だと分かります。実際、施工管理の負担として長く問題になってきたのは、現場が終わったあとの書類作成でした。ここが軽くなるのは働き方にとって前向きな変化です。
置き換えが進む部分と、進まない部分
技術が入りやすいのは、入力と出力が決まっていて、正しさを機械が確認できる作業です。写真の仕分けも、数量の拾い出しも、この条件に当てはまります。
進みにくいのは、その場に行かなければ入力が得られない作業です。図面どおりに施工されているかを実物で確かめる、材料の状態を見て使えるか判断する、隣り合う業者の作業がぶつからないよう順番を決める。これらは現場に体がなければ情報が手に入りません。情報が手に入らない以上、遠隔からの自動化は成立しません。
もうひとつ進みにくいのが、責任を伴う判断です。工事には安全と品質の責任があり、問題が起きたときに説明できる人間が必要になります。仕組みが提案した工程をそのまま実行して事故が起きたとき、責任を負う主体は現在の制度上、人間の側にあります。
人が減らない最大の理由は、人数の側にあります
技術の話とは別に、そもそも人が足りていません。国土交通省が公表している監理技術者資格者証の保有者の年齢構成では、60歳以上が34.9%、29歳以下は1.1%です。現場を仕切る層が抜けていく一方で、下から入る層がほとんどいない状態です。
厚生労働省の職業安定業務統計では、建築・土木・測量技術者の有効求人倍率は4.85倍です。この状況で技術が入っても、その効果は人員の削減ではなく、足りない人数を補う方向に使われます。一人あたりの負担を減らし、規制の範囲内で工事を回すための道具として導入されています。
規制の側からも、人手が必要になっています
2024年4月から、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されています。それまで一人あたりの労働時間を伸ばして吸収していた不足が、吸収できなくなりました。
同じ工事量をこなすために必要な人数が増えたところに、技術の導入が重なっています。つまり、技術は増えた必要人数を少しでも埋めるために入っているのであって、人を減らすために入っているわけではありません。順番が逆になっている点が、事務職の分野で起きていることとの大きな違いです。
それでも、立ち位置は選んでおく必要があります
安心して構わないという結論にはしません。現場の仕事の中でも、記録や整理の作業は道具に置き換わっていきます。指示されたとおりに記録を取るだけの立場に留まると、その部分は確実に軽くなります。
残るのは判断と調整です。段取りを決める、業者の間で落としどころを作る、問題が起きたときに責任を持って選ぶ。移った先でも、この位置に近づく意識は必要です。同じ現場にいても、作業をこなす人と決める人では立場の強さが違います。
確かめておくこと
技術の導入は会社によって進み方に差があります。書類の負担をどう減らしているか、現場の記録にどんな仕組みを使っているかは、面接で確認できる内容です。進んでいる会社ほど、働き方の改善にも投資しています。
移った先で長く続けるつもりなら、道具を使う側に回れる環境かどうかを見てください。入り方の違いを確かめる段階で、この点も合わせて聞いておくと判断しやすくなります。
施工管理を選ぶかどうかは、入り方を知ってから決める
施工管理は、どの会社のどのルートから入るかで最初の数年がまったく変わります。同じ未経験入社でも、任される現場、教育の手厚さ、年収の上がり方に差が出ます。先に入り方の違いを並べて見ておくと、求人票の読み方が変わります。
施工管理のなり方比較で、未経験から入る4つのルートを比較する
(AI逃げ切りナビ編集部)