AIに代替されやすい職種として、コールセンター、経理、営業事務の名前が繰り返し挙がります。いま実際にその職種にいる人にとって、この手の情報は落ち着かないだけで使い道がありません。必要なのは、危ないと言われる側から動いた人が何をしたのかという具体的な手順です。この記事では、代替率が高いとされる職種から別の分野に移った人たちの動き方に共通していた点を、四つに分けて整理します。
この三つの職種が挙がる理由
まず、なぜこの三つが名前を挙げられるのかを確認します。共通しているのは、仕事の入力と出力がほとんど文字と数字で完結する点です。
コールセンターは、問い合わせの内容と回答の型が決まっています。経理は、証憑の情報を決まった科目に振り分ける作業が大きな割合を占めます。営業事務は、見積と受注のデータを社内の書式に載せ替える作業が中心になります。いずれも手順が決まっていて、成果物の正しさを後から機械的に確認できます。この条件が揃った作業は、遅いか早いかの違いはあっても機械の側に移ります。
ただし、これは職種の全部が消えるという話ではありません。クレームの落としどころを作る、決算の方針を経営者と決める、条件の合わない取引先の間に立つ。こうした部分は残ります。問題は、その残りが自分の仕事のどれだけを占めているかです。
共通点その一:職種ではなく、作業の単位で考えました
動けた人は、自分の職種が危ないかどうかという問いを早い段階で捨てています。代わりに、自分の一日を作業の単位に分解して、それぞれが機械に移りやすいかどうかを見ています。
この分解をやると、同じ職種の中に安全な部分と危ない部分が混ざっていることが見えます。危ない部分が半分を超えていたなら動く、そうでなければ社内で役割を作り直す。判断の基準が自分の手元にできるため、噂に振り回されなくなります。
共通点その二:画面の外に出る側へ移りました
移動先として選ばれていたのは、その場に体を置くことが必要な仕事です。建設の現場、設備の保全、物流や整備の現場。共通しているのは、その場所に行かなければ判断の材料が手に入らないという性質です。
ここで誤解されやすいのは、体を使う仕事に移ることと、体力で勝負することは別だという点です。たとえば施工管理は、工程と品質と安全を管理して現場を回す仕事で、実際に物を造るわけではありません。複数の関係者と日程を調整し、決まりごとを守らせ、優先順位を決める。営業事務や経理で毎日やっていたことと構造が似ています。前職の経験が評価につながるのは、この重なりがあるからです。
共通点その三:資格を取る前に、入り口を先に調べました
動けなかった人によく見られるのが、資格の勉強から始めてしまう順番です。資格が必要な分野もありますが、未経験の採用枠が広い分野では、入社後に会社の支援で取る方が早いことが多くあります。
先に調べておくべきは、その分野の未経験募集がどれくらいあるか、入社後の教育がどうなっているか、資格の取得を会社が支援するかです。人が足りない分野では、未経験を採って育てる仕組みがすでに用意されています。厚生労働省の職業安定業務統計では、建築・土木・測量技術者の有効求人倍率は4.85倍です。この数字は、資格より先に人が欲しい状態を表しています。
共通点その四:収入は入社時ではなく、数年後で比べました
求人票に並ぶのは入社時の条件です。未経験で入る場合、最初の年の収入が前職を下回ることは珍しくありません。ここで判断を止めてしまうと、移動そのものが選べなくなります。
比べる対象を数年後に置くと見え方が変わります。民間の求人データでは施工管理の平均年収は650万円を超えていますが、これは経験者を含む平均で、未経験の一年目からその額が出るわけではありません。逆に、いまの職種に残った場合の数年後も同じように考える必要があります。作業が機械に移り続けた先で、自分の役割がどうなっているか。両方を並べたうえで決めた人が、結果として動けています。
何から始めるか
やる順番は決まっています。まず一日の作業を書き出して、機械に移りやすいものに印を付ける。次に、印の少ない仕事が多い分野を調べる。最後に、その分野の入り口と教育の仕組みを確かめる。
この三つを終える前に求人へ応募すると、条件の比較だけで迷って止まります。判断の材料を揃えてから動いてください。
次に動く前に、自分の立ち位置を確かめる
AIに置き換えられやすいかどうかは、職種の名前ではなく日々の作業の中身で決まります。求人を探し始める前に、今の仕事のどの部分が機械の側に移りやすいのかを整理しておくと、次の選択で迷いにくくなります。
(AI逃げ切りナビ編集部)