「AIに仕事を奪われる」って話、毎日どこかで目にしますよね。ホワイトカラーがやばい、事務職がなくなる、経理も終わり――本当に怖い話ばかりです。
でも、「じゃあ何に転職すればいいんだ」という話になったとき、多くの人がスルーしてる職種があります。それが警備員です。
地味に聞こえますよね。わかります。でも、保安職の有効求人倍率は6.7倍(全職業平均1.1倍の約6.1倍)。AI警備ロボットが普及しているにもかかわらず、機械警備の対象施設は前年比+5.9%増。データセンター警備では未経験でも350万円〜、マネージャーで500万円超が当たり前になっています。
人材業界で10年飯を食ってきた僕が、この職種を「AI失業組の安全地帯」と本気で思う理由を、データで全部お見せします。
結論:求人倍率6.7倍。警備員は「なろうと思ったらなれる」最後の職種
先に結論だけ言います。
警備員は今、転職先として3つの意味で「勝ち組」です。
① 参入障壁が限りなく低い。法定研修は新任20時間のみ。年齢制限は実質なし。70歳以上の現役警備員が全体の20.9%(122,919人)もいます。60代未経験で「今日から動ける」職種は、日本にほぼここしか残っていません。
② 外国人に仕事を取られない。特定技能制度の対象外なので、2025年時点で警備業への外国人の大量参入はできません。これは国内人材の希少価値を守る構造的な壁です。なお、政府が将来的に警備業を特定技能の対象に追加する可能性はゼロではありません。ただし2025年時点では対象外であり、業界団体も反発しているため、短期での解禁は考えにくい状況です。
③ AIで需要が増える逆説がある。機械警備施設は前年比+5.9%増(342万施設)。AIシステムを入れるほど、その監視・保守・異常時対応に人間の警備員が必要になります。AIが「警備員の仕事を増やしている」わけです。
加えて、2025〜2030年にかけて4つの需要バブルが同時着火しています。データセンター建設ラッシュ、国土強靭化15兆円工事、大阪万博、インバウンド復活による空港警備強化。これだけ重なることは、過去になかったことです。
ただし、「警備員なら何でもいい」わけじゃないです。稼げる現場と稼げない現場の差が大きい。その見分け方こそが、この記事で一番お伝えしたいことです。
順を追って見ていきましょう。
警備業の4区分を一発で理解する
「警備員」を一括りに語る記事が多いですが、実は法律で4つの業務区分に分かれています。どの区分に入るかで、年収も働き方も大きく変わります。まずここを押さえないと、話が進みません。
| 区分 | 通称 | 主な業務 | 年収レンジ |
|---|---|---|---|
| 1号警備 | 施設警備 | 商業施設・病院・マンション・DC等の常駐 | 335〜376万円 |
| 2号警備 | 交通誘導・雑踏 | 工事現場の車両誘導・イベント人員整理 | 348〜350万円 |
| 3号警備 | 貴重品輸送 | 現金・貴金属・美術品の運搬警備 | 300〜400万円 |
| 4号警備 | 身辺警備(SP) | 要人・芸能人・一般市民の身辺保護 | 420〜550万円(VIP依頼は1日100万円超も) |
出典:警察庁「令和6年における警備業の概況」・careergarden.jp・spd-security.com
1号警備(施設警備)
もっとも人数が多く、未経験者が最初に入るのも大半がここです。商業施設・オフィスビル・病院・マンション・データセンターなどに常駐して、巡回・受付・入退室管理・異常対応などを行います。
ひとくちに「施設警備」といっても、現場によって天と地ほど差があります。郊外の空きビルで月24万円のケースもあれば、都内の大手DCで月35万円以上というケースもある。同じ1号警備でも、どこに入るかが全てです。

施設警備、暇な現場は本当に楽なんですよ。スマホ触りながら月25万もらえるって言ってた60代の方がいました。「老後の仕事として最高」って。それはそれで一つのリアルです。
2号警備(交通誘導・雑踏)
工事現場での車両誘導や、コンサート・花火大会などのイベント会場での人員整理を行います。日雇い・単発派遣が多く、従事業者数は認可業者の76.5%と最多。国土強靭化15兆円の工事ラッシュで、この区分の需要が今最も爆増しています。
正直、夏の炎天下・冬の凍える現場での立ち仕事はしんどいです。ただ、日当11,000〜15,000円前後で、単発でも安定して入れるのが強み。「週3〜4日だけ働きたい」という50〜60代に合っている働き方でもあります。
3号警備(貴重品輸送)
現金・金塊・美術品・ATM補充現金などの運搬警備です。体力が必要で、特殊な訓練を受けた専門チームが担います。核燃料物質等危険物輸送の有資格者は基本給月額30〜40万円台と、高単価セグメントの一角を占めます。未経験から入るより、1号警備で実績を積んでからシフトするルートが一般的です。
4号警備(身辺警備・ボディーガード)
業界全体で見ると人数は少ないですが、年収レンジは警備員の中で最も高い区分です。政治家・芸能人・経営者などのSPは420〜550万円、警視庁SPクラスは600万円以上、VIPチームへの単発依頼は1日100万円超の事例もあります(出典:keibinext.jp)。
ただしここは、元警察官・自衛官・格闘技有段者など「それなりのバックグラウンド」が求められます。未経験からいきなりここを目指すのは現実的ではありません。

結局、最初は1号か2号に入るのが現実的ってことですよね。そこから資格取ってキャリアアップ、という流れ?

そういうことです。ただ「どの1号警備に入るか」が本当に重要で、同じ1号でもDCと普通の商業施設では最初から年収が10〜15万円違うこともある。エージェントに「DC案件の施設警備を希望」と最初から言えるかどうかで、スタートラインが変わります。
「3.4兆円市場」なのになぜ人が足りないのか
警備業の規模感を先に共有しておきます。業界の売上は約3.4兆円(警察庁「令和6年における警備業の概況」)。警備業者数は10,811社(前年比+1.3%拡大)。警備員数は587,848人(前年比+0.5%増)という、れっきとした大産業です。
それだけの規模があって、なぜ保安職の有効求人倍率が6.7倍なのか。理由は3つあります。
理由①:超高齢化が進みすぎている。60歳以上の警備員が全体の47%、65歳以上が34.3%、70歳以上が20.9%(122,919人)。これはどういう意味かというと、10年後にはこの人たちが引退するタイミングが来ます。需要は増えているのに供給が先細りするという、構造的な人手不足です。
ちなみに30歳未満はわずか10.4%(61,204人)。若い人が入ってこないんですよ。業界として「若者が嫌がる仕事」というイメージを払拭できていない。でも現実は、DC警備のような高単価現場が次々と生まれています。このイメージギャップが、「知ってる人だけが勝てる」構造を作っています。
理由②:離職率が異常に高い。リクルートワークス研究所の調査によると、年間採用2,300人に対して退職1,800人という企業例があります。「続けたい」という継続就業意欲はわずか38.7%(ディップ調査、2019年)。有期雇用比率も約8割が1年更新という業界体質で、人が定着しない構造があります。
これは読者の皆さんにとって「チャンス」です。離職率が高いということは、常時募集しているということ。「すぐ入れる」「選ぶ側に立てる」状況が続いています。
理由③:需要の増加スピードが供給を大幅に上回っている。この点については次のセクションで詳しく見ますが、DC建設・万博・国土強靭化工事という複数のバブルが2025〜2030年に同時に来ています。これほどの重なりは過去にない話です。
「6.7倍」という数字が何を意味するか
有効求人倍率の「6.7倍」という数字を、体感として理解するために比較してみます。
保安職:6.70倍(出典:警察庁省力化計画、令和7年9月時点)
全職業平均:1.1倍(2025年9月)
大阪万博期の保安職(大阪府):6.78倍(全職業1.19倍と対比)(産経新聞)
全職業平均1.1倍というのは「求人1件に対して求職者が0.9人程度いる」状態です。一方で6.70倍は「求人6〜7件に対して求職者が1人しかいない」状態。完全な売り手市場どころか、「人が来なくて困っている」の水準です。
採用担当者の視点で言うと、「求人票を出して1週間以内に応募が来ない」のが当たり前の業界です。そんな業界に「転職したい」と連絡が来れば、まず断られません。「選ばれる立場」ではなく「選ぶ立場」に近い状況で転職活動ができます。
大阪・関西万博(2025年4月〜10月)の開催期間中、大阪の保安職の倍率は6.78倍でした(産経新聞)。万博という一時的な需要増でこの数字。恒久的な需要(DC・国土強靭化)ではどうなるかは、想像に難くないです。
業界を俯瞰した「4つの分断」
「警備業界は一枚岩じゃない」ということも、知っておいた方がいいです。業界内に4つの分断があります。
分断①:大手vs中小の待遇格差。セコム(全社平均655万円)とその下の中小警備会社(年収250〜300万円台)の差は、同じ「警備員」でも大きいです。
分断②:元請けvs下請けの収入格差。警備業界は多重下請け構造が深刻です。同じ現場に立っていても、元請けの警備員と二次下請けの警備員では、同じ業務で月5〜10万円の差が出ることがあります。
分断③:高単価現場vs低単価現場。DCや空港のような「何を守るか」で高単価な現場と、過疎地の駐車場警備のような低単価現場の差。求人票だけでは分からないことが多いです。
分断④:正社員vs有期雇用の安定格差。約8割が1年更新の有期雇用という業界体質の中で、大手の正社員として入るか、地元の中小に有期で入るかで将来の安定度が大きく違います。
この4つの分断を理解した上で、「どの位置に入るか」を最初から意識することが重要です。転職エージェントに相談する際も、この4つの観点で「どの層に入りたいか」を伝えると、マッチング精度が格段に上がります。
警備業 基本データ(2024年末時点)
- 業界売上:約3.4兆円(警察庁)
- 警備業者数:10,811社(前年比+1.3%)
- 警備員数:587,848人(前年比+0.5%)
- 保安職の有効求人倍率:6.70倍(全職業平均1.1倍・警察庁省力化計画令和7年9月時点)
- 60歳以上の警備員:47%
- 70歳以上の警備員:20.9%(122,919人)
- 継続就業意欲「続けたい」:38.7%
- 有期雇用比率:約8割が1年更新
- セコム売上:1兆1,999億円(4年連続最高益更新)
警備員の本当の年収――平均354万円の内訳と「上がるルート」
「警備員は給料が安い」というイメージ、ありますよね。それは半分本当で、半分嘘です。
厚労省「令和6年賃金構造基本統計調査」(令和6年速報)によると、警備員全体の平均年収は354万円(平均年齢52.9歳・勤続10.4年・月額給与268,300円・年間賞与318,500円)です。男性364.2万円、女性274.8万円。全国平均(460万円前後)と比べると低いのは事実です。
ただし、これは「全警備員の平均」です。高単価セグメント・大手企業・資格保有者の話を入れると、全然違う数字が出てきます。
少し想像してみてください。「警備員の平均年収354万円」という数字には、地方の駐車場に一人で立っている65歳のパートタイム警備員も含まれています。首都圏のDCで月35万円もらっているフルタイムの30代警備員も含まれています。この両極端を平均したら、「普通」の数字になるのは当然です。
だから「警備員の平均年収354万円」という数字だけで判断するのは危険で、「どの現場・どの会社・どんな資格を持つか」という条件を組み合わせた時の年収レンジを見るべきなんです。
| セグメント | 年収レンジ |
|---|---|
| データセンター警備(未経験) | 350万円〜 |
| データセンター警備マネージャー | 500万円超 |
| 空港保安検査(1級保有) | 月357,000円〜(年420〜500万円以上) |
| 原子力・防衛施設警備 | 400〜700万円 |
| 4号警備(ボディーガード) | 420〜550万円 |
| 大手警備会社管理職 | 600〜800万円 |
| 機械警備モニタリング(管制センター) | 平均450万円 |
出典:サンエス警備・keibinext.jp・careergarden.jp・spd-security.com
企業規模別では、小規模(10〜99人)304万円、中規模(100〜999人)350万円、大規模(1,000人以上)379万円と、規模が大きいほど給与は高い。セコムの全社平均年収は655万円(2025年3月期・平均年齢44.7歳)、ALSOKは579万円です(出典:日経会社情報・mersenne.co.jp)。
「平均354万円」という数字は、「郊外の中小警備会社でひとり常駐している60代の方」も含めた平均です。大手に入って資格を取ってキャリアラダーを上がれば、この数字は全然違ってきます。
給料を上げるルートはシンプル
キャリアラダーは以下の通りです。出典はcareergarden.jp・keibinext.jpのデータを人材業界人として補足したものです。
- 一般警備員(入社〜):230〜280万円台
- 班長・小隊長:280〜330万円台
- 隊長・現場責任者:330〜380万円台
- 警備員指導教育責任者(国家資格):手当上乗せで350万円超
- 施設警備業務検定1級:専門手当
- 管理職・支社長クラス:600〜800万円も
特に「警備員指導教育責任者」は各営業所に1名配置が法定義務の国家資格です。持っている人が少ないから希少価値が高い。この資格があれば、転職市場でも「即戦力」として評価されます。
採用担当をやっていた僕の目線で言うと、「警備員指導教育責任者を持っている人」と「普通の警備員」では、求人票の閲覧も書類通過率も全然違います。この資格は警備会社にとって「いないと営業所が開けない」レベルの必置資格なので、希少価値が高いまま維持されています。
比較として、他のブルーカラー職と年収を並べてみます。警備員を「選択肢」として相対的に評価するために。
| 職種 | 平均年収(全国) | 有効求人倍率(目安) | 未経験参入難易度 |
|---|---|---|---|
| 警備員(全体平均) | 354万円 | 6.7倍 | ★(新任研修20時間) |
| 警備員(DC・高単価) | 350〜500万円以上 | 高倍率 | ★★ |
| 電気工事士 | 547万円 | 約3.8倍 | ★★★(資格取得に半年) |
| 溶接工 | 430万円前後 | 高倍率 | ★★★(JIS資格が必要) |
| 建機オペレーター | 450万円前後 | 高倍率 | ★★★(資格取得に数週間〜数カ月) |
| 介護職 | 約340万円 | 約4倍 | ★(初任者研修130時間) |
電気工事士・溶接工・建機オペに比べると、警備員の参入難易度は最も低い。とはいえ、高単価セグメントを狙えば他の職種に近い年収も狙えます。「まずスピード感を持って動きたい」という方には、警備員は最速の選択肢の一つです。

資格とったら月3万上がりました。もっと早くやればよかったって本当に思います。指導教育責任者は講習受ければ取れるんで、入って1〜2年でチャレンジした方がいいですよ。
AIとロボットで警備員は消えるのか?逆説的に需要が増える理由
「AIが普及したら警備員の仕事もなくなるんじゃ?」という疑問、もっともです。実際、AIカメラ・自律巡回ロボット・アバター受付・交通誘導システム(VOLLMONT等)の導入が進んでいます。
でも、データを見ると逆のことが起きています。
機械警備の対象施設数は342万施設(前年比+5.9%増)(警察庁「令和6年における警備業の概況」)。機械警備が増えるほど、その監視・保守・異常時対応に当たる人間の警備員の需要も増えているんです。
なぜそうなるかを、少し丁寧に説明します。
AIカメラが不審者を検知したとします。その瞬間、「現場に行って確認する」「警察に通報する」「建物内の人に避難指示を出す」という一連の対応が必要になります。このアクション部分は、AIカメラ自身にはできません。機械が「異常を検知する」機能が高度化すればするほど、「異常への対応」に当たる人間の需要が増えます。これが「機械警備施設が増えるほど人間の警備員も必要になる」逆説のメカニズムです。
警察庁の省力化計画(令和7年12月)は、令和11年度(2029年度)までに警備業の生産性を25%向上させる目標を掲げていますが、具体的な施策は「AIカメラによる巡回補助」「ロボットと人間の協働モデル」です。「人をゼロにする」という方向性は、この計画の中にありません。
理由を整理します。
AIが代替できる業務
- 定点カメラの映像解析・不審者検知
- 施設内の自律巡回(ロボット)
- アバター受付・来訪者案内の一部
- 工事現場の交通誘導補助システム
AIが代替できない業務(こっちが本題)
- 突発事態への臨機応変な声かけ・誘導(現場判断)
- AI警備システム自体のハッキングへの対応(サイバー攻撃の標的化)
- プライバシー管理の倫理的判断(何を記録し何を消すか)
- 来訪者の状況確認・関係機関への連絡・報告書作成
- 警備業法上の制止権限(ロボットには法的権限がない)
最後の「法的権限」が一番大きいです。警備員には、不審者や侵入者に対して合法的に声をかけ、警告し、一定の範囲で制止する権限があります。ロボットやAIには、2026年時点でこの法的権限が与えられていません。法律を変えない限り、この部分は人間にしかできない仕事です。

でも将来的には法律も変わって、ロボットが制止権限を持つようになるんじゃないですか?

理論的にはあり得ます。ただ警察庁が令和11年度(2029年度)までに警備業の生産性25%向上を目標にした省力化計画を出していますが、その中でも「人とAI・ロボットの協働」モデルがベースです。「人を消す」ではなく「人の仕事をAIが補助する」方向性です。少なくともこの10年で人間の警備員がゼロになることは考えにくい。
セコムもALSOKも、「人+AI」のハイブリッドモデルで大規模投資を続けています。セコムの売上は1兆1,999億円(2025年3月期、4年連続最高益更新)。AIを導入しながら、会社としては拡大しているわけです。これが「AI導入=人が減る」ではなく「AI導入=仕事が増えて人も増える」という現実です。
警察庁省力化計画(令和7年12月)は、AIやロボットによる警備の自動化を推進しつつ、「省力化投資」という言葉を使っています。「省力」であって「無人化」ではありません。この使い分けは、業界の現実をよく表していると思います。
「AI警備は人間の仕事を奪う」説への具体的な反論
競合記事やSNSで「AI・ロボット導入で警備員は不要になる」という論が散見されます。これに対して、5つの観点から反論します。
反論①:巡回ロボットは「平坦な廊下」しか動けない。段差・階段・エレベーター乗り降り・屋外での稼働に制限があります。現実の施設は段差だらけです。「完全自律巡回」が実現するには、まだかなりのインフラ整備が必要です。
反論②:AIカメラは「何が映っているか」は分かっても「何をすべきか」は判断できない。「男性が立っている」と検知できても、それが「不審者か、清掃員か、迷子の来訪者か」は文脈で判断する必要があります。この文脈判断はAIが最も苦手とする領域です。
反論③:AIシステム自体がサイバー攻撃の標的になる。クラウド連携のAI警備システムは、ハッキングされると機能不全に陥ります。機械だけに頼ったセキュリティは、サイバー攻撃に対して脆弱です。「AIで守るAIを、人間がバックアップする」という多重構造が必要になります。
反論④:警備業法上の「制止権限」はロボットに与えられていない。2026年時点で、警備業法上の不審者への制止権限は「人間の警備員」にしかありません。法的な整備が進まない限り、この業務は人間専用です。
反論⑤:AI警備導入コストが高い中小施設には普及しない。AI警備システムの導入コストは、中小ビルオーナーには高すぎて採算が取れないケースが多い。結果として「人間の警備員を雇う方がコスパがいい」という判断が、特に地方・中小施設では続きます。
つまり、AI警備が普及するのは「大手企業の大規模施設・DC・空港」などの高コスト施設に限られます。それ以外の大多数の施設では、まだしばらく人間の警備員が主役です。
4つの需要バブルが同時着火中――2025〜2030年が最後の波
ここが記事の核心です。なぜ「今が動き時」なのか。2025〜2030年に、4つの巨大需要バブルが同時に来ているからです。これほど重なるタイミングは、過去の警備業の歴史でもほぼ例がありません。
バブル①:データセンター建設ラッシュ
ChatGPT・Claude・Geminiなどの生成AIを動かすためのデータセンター(DC)が、日本全国で急増しています。国内外の大手IT企業が相次いで日本への大型DC投資を発表しており、経産省「デジタルインフラ整備有識者会合資料」でもDC需要の急増が示されています。
なぜDCが警備員にとってチャンスなのかを説明します。
DCは「国家安全保障に準じるインフラ」として扱われます。金融機関のシステム・政府のデータ・企業の機密情報が集積された場所です。不正アクセス・物理侵入・内部犯行のリスクを抑えるために、24時間365日の有人警備が求められます。AIカメラだけでは対応できない「物理セキュリティ」の責任者が必要なわけです。
DC警備の仕事内容は「ただ立っている」ではありません。入退室カード管理・来訪者の身元確認・アクセスログの記録・サーバー棟の定時巡回・緊急時の通報対応。これらが複合されたスキルワークで、一般施設警備より業務の密度が高い。その分、待遇も高い。
だからDC警備は未経験でも年収350万円〜が当たり前で、数年キャリアを積んでマネージャーになると500万円超になります(出典:sunpla-style.co.jp・DC警備求人データ)。事務職・受付業務・カード管理・巡回の複合型なので、「ただ立ってるだけ」ではなく「ちゃんとした仕事をしたい」人にも向いています。
首都圏・関西で求人が急増しています。転職エージェントに「DC案件・施設警備1号を希望」と伝えると、この条件で絞り込んでもらえます。
バブル②:国土強靭化15兆円×工事現場2号警備
国土強靭化5ヵ年加速化対策(2021〜2025年度・総額約15兆円・内閣官房)により、全国の道路・橋梁・トンネル・河川・港湾の整備・修繕が一斉に動いています。なお次期計画(2026〜2030年度)では約20兆円規模での継続が閣議決定済みで、工事需要はこの先も途切れません。
工事現場には法定で交通誘導警備員の配置が義務付けられています。工事が増えれば、2号警備の需要が直撃します。2号警備の従事業者は認可業者の76.5%が関与(警察庁)という、警備業の主力セグメントです。
地方部では特にこの恩恵が大きい。都市部のような競合が少なく、工事発注が安定しているので、地方の警備会社はこの5年間でかなり安定しています。
「15兆円」という数字がどれくらいの規模かを体感するために補足します。日本の国家予算(一般会計)が年約110兆円。その約7分の1が「道路・橋・トンネル・河川を直す費用」として5年間に流れ込む。工事現場が増えれば、法定配置の交通誘導警備員の需要が比例して増えます。
2号警備の特徴は「単発・日雇い」で動きやすい点です。「まず試しに警備員をやってみたい」という方には、2号警備の単発から始めるのが一番ハードルが低いです。日当11,000〜15,000円前後、未経験OK、翌日から動ける案件も多い。
ただし、夏と冬の屋外立ち仕事の厳しさは本物です。これを「乗り切れる」と思えるかどうかが、2号向きかどうかの判断基準です。
バブル③:大阪・関西万博とIR建設需要
2025年4月〜10月に開催された大阪・関西万博は終了しましたが、警備業界に残したものは2つあります。
ひとつは経験を積んだ警備員の業界定着です。ピーク時には数千人規模が会場警備に投入され、時給2,000円超〜2,500円台という業界平均の約2倍に近い現場で実務を積んだ人材が、そのまま業界に残りました。「万博でまず経験を積んで、その後DCや空港に転職する」というルートを使った人も少なくないと聞いています。
もうひとつはIR(統合型リゾート)建設に伴う警備需要の継続です。万博跡地・夢洲周辺では2025年秋以降もIR建設工事が本格化します。「万博バブルが終わったら仕事がなくなる」ではなく、連鎖的に需要が大阪に残る構造です。
バブル④:インバウンド復活×空港警備強化
コロナ明け以降、訪日外国人数は急回復しています。羽田・成田・関西国際空港などの主要空港では、保安検査体制の強化が続いています。
空港保安検査員の年収レンジは300〜500万円。施設警備業務検定1級の保有者は月額357,000円〜(出典:サンエス警備求人)。羽田・成田の警備員求人は継続的に高倍率で、インバウンドが増えるほどこの需要は続きます。
空港保安検査は技術的なスキルが求められますが、実務研修がしっかりしているので未経験からのキャリアチェンジも可能です。英語が話せなくても、検査機器の操作と手順を覚えれば担えます。
4バブル需要サマリー
- DCバブル:2024〜2030年加速。DC警備350〜500万円以上。首都圏・関西で急増
- 国土強靭化5ヵ年加速化対策:15兆円(2021〜2025年度)。次期計画(2026〜2030年度)約20兆円も閣議決定済み。2号警備全国展開
- 万博:数千人規模が動員・時給2,000円超〜2,500円台。IR建設需要へ連鎖
- 空港:インバウンド急回復。保安検査1級で月357,000円〜
「高単価警備」という世界――DC・空港・原発・ボディガードを比較
一般的なイメージの「警備員」と、高単価セグメントの警備員の間には、年収で100〜200万円以上の差があります。この差を生むのは「何を守るか」と「どんな資格を持っているか」の2点です。
| セグメント | 年収レンジ | 参入難易度 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 一般施設警備(1号) | 230〜350万円 | ★(新任研修20時間で即可) | 未経験歓迎。現場による差が大きい |
| DC・IT施設警備 | 350〜500万円以上 | ★★ | 複合業務(受付+巡回+カード管理)。大手優先 |
| 空港保安検査(1級) | 420〜500万円以上(月357,000円〜) | ★★★ | 施設警備業務検定が必要。研修制度あり |
| 原子力・防衛施設 | 400〜700万円 | ★★★★ | 厳しいセキュリティ審査あり |
| 核燃料物質等危険物輸送 | 月30〜40万円台 | ★★★★ | 専門資格必須。高報酬 |
| 4号警備(SP・ボディーガード) | 420〜550万円(VIPは1日100万円も) | ★★★★★ | 元警察・自衛官・格闘技有段が強い |
| 大手警備会社管理職 | 600〜800万円 | ★★★(社内昇進) | セコム655万円・ALSOK579万円(全社平均) |
未経験から「年収を最大化するルート」を考えるなら、大手警備会社のDC案件1号警備→施設警備業務検定取得→マネージャー職というルートが現実的です。5〜7年で年収500万円超を狙えます。
「大手に入れるの?」と思うかもしれませんが、セコム・ALSOKでも現場警備員の採用は常に開いています。倍率が低いのは入社しやすいからではなく、離職率が高くて常時補充が必要だからです。「大手の求人が出ている=チャンス」と読むべきです。

「セコムやALSOKに転職する」って言うと「えっそんなことできるの?」って驚かれるんですが、現場警備員は普通に中途採用してます。しかも採用倍率は1倍台〜2倍台のケースも多い。知らなかっただけで、ずっと入口は開いてたんですよね。
資格1枚で給料が変わる――取るべき資格ロードマップ
警備業界における資格は「持つと給料が上がる」だけでなく、「持つと配置できる現場が増える」という意味があります。現場ニーズが高い資格ほど、給与交渉でも有利です。
未経験から5年でのロードマップを示します。
フェーズ1(入社〜1年):現場デビュー
- 新任教育20時間(法定):入社後すぐ実施。これで現場に立てます
- 現任教育(年8時間以上):継続的なスキルアップ
フェーズ2(1〜2年):専門資格の取得
- 施設警備業務検定2級:1号警備の専門資格。手当アップに直結
- 交通誘導警備業務検定2級:2号警備の専門資格。高単価現場へ
フェーズ3(2〜3年):上位資格と管理へ
- 警備員指導教育責任者(各号):各営業所1名必置の国家資格。これが一番重要
- 施設警備業務検定1級:空港・大型施設への転換に必要
- 交通誘導警備業務検定1級:高単価2号現場の専任要員に
フェーズ4(3〜5年):管理職・独立・大手転職
- 警備業務管理者:法定管理者資格。独立・会社設立に必要
- セキュリティ・コンサルタント:民間資格だが営業面での差別化に
資格の取り方は、警備業法で定められた検定試験に合格する方法と、特別講習を受講する方法の2通りあります。特別講習の方が合格率が高く、費用はかかりますが確実性があります。
「資格を取りながら稼ぐ」ことができるのも警備業の特徴です。他の業界では「資格取得のために仕事を辞める」ことが多いですが、警備では現場で働きながら、OFF日に講習・試験を受ければ取得できます。
資格別「費用対効果」を正直に評価する
「費用をかけて資格を取るべきか」という問いへの、人材業界人としての正直な評価です。
| 資格名 | 取得コスト目安 | 年収への影響 | 優先度 |
|---|---|---|---|
| 施設警備業務検定2級 | 3〜5万円(特別講習) | 月+1〜2万円 | ★★★★(入社1年で取れ) |
| 交通誘導警備業務検定2級 | 3〜5万円(特別講習) | 月+1〜2万円 | ★★★(2号警備志向なら) |
| 警備員指導教育責任者 | 5〜10万円(講習) | 月+2〜5万円+転職価値大 | ★★★★★(最優先) |
| 施設警備業務検定1級 | 5〜10万円(特別講習) | 月+2〜3万円+空港・大型施設可 | ★★★★ |
| 交通誘導警備業務検定1級 | 5〜10万円(特別講習) | 月+2〜3万円+高単価2号現場可 | ★★★ |
「警備員指導教育責任者」は、費用対効果がダントツで高い資格です。取得費用5〜10万円に対して、手当が月2〜5万円上がれば1〜5カ月で元が取れます。しかも会社によっては資格取得費用を補助してくれます。入社前に「資格取得補助制度があるか」を確認することをおすすめします。

資格って、働きながら本当に取れますか?試験が難しかったりしませんか?

検定試験は年1〜2回あって、特別講習ルートを使えば合格率が高くなります。「難関資格」ではないです。電気工事士や溶接のJIS資格より取りやすいと思います。しかも会社側も「取ってほしい」という立場なので、職場でのサポートを受けやすい環境があります。
未経験・50代・60代でも「今日から動ける」理由
「50代・60代でも本当に入れるの?」と疑う方が多いのですが、これは業界の構造上、入れないと困るんです。
警察庁「令和6年における警備業の概況」が示す数字を再掲します。
- 60歳以上の警備員:全体の47%
- 65歳以上:34.3%
- 70歳以上:20.9%(122,919人)
70歳以上が12万人以上いる産業なんです。これは「シニアを雇わないと回らない」業界だということです。求人票に「〇歳以上歓迎」と書いてある必要もない。現場の半分近くが60歳以上という事実が、年齢制限がないことを証明しています。
法定研修は新任20時間のみ。特別な資格も学歴も不要。体力的に問題がなければ、明日にでも応募できます。
「体力が不安」という方には、施設警備(特にDC・オフィスビルの常駐型)が向いています。交通誘導(2号)のような炎天下・立ちっぱなしの現場と違い、空調が効いた室内での業務が中心です。監視カメラのモニタリング・来訪者対応・巡回(歩く程度)が主な業務なので、体への負担は比較的小さいです。

ぶっちゃけ、50代でも60代でも「一人ひとりが大事」な業界なんですよ。人手不足が深刻すぎて、経験のある人を手放したくない会社が多い。定年後の再雇用も普通に行われてます。「もう年齢的に無理かな」と諦めてる人ほど、警備は動く価値があります。
研修期間中も賃金支払い義務があります(労働基準法上当然ですが、他業種では「研修は無給」ということもあるので確認が必要)。最初から給与をもらいながらスキルを身につけられるのも、警備業の参入しやすさの一つです。
自衛官・警察官OBが警備員に転身するわけ
自衛官の定年は55歳前後、警察官の定年は60歳です。彼らが第二のキャリアとして選ぶ職種の中で、最も多いのが警備業です。偶然ではありません。
理由は構造的にシンプルです。
①スキルの転用率が極めて高い。警備業法の知識・緊急時対応・報告書作成・危機管理意識。これは自衛官・警察官が日常的にやっていたことです。民間の警備会社に入ると即戦力扱いになります。
②「警備員指導教育責任者」の取得が容易。警察官・消防署員・自衛官は、警備員指導教育責任者の特別な受験資格があります。講習ルートが一般とは異なり、実質的に取得しやすい構造になっています。この資格を持っていると、入社後すぐに管理職候補として扱われます。
③社会貢献感が続く。自衛官・警察官として「社会を守る」という感覚で働いてきた方にとって、警備員という仕事は「守る」という価値観の延長にあります。「定年後に一から異業種に飛び込むより、続きをやっている感覚で働ける」という声をよく聞きます。
大手警備会社は自衛官・警察官OBを積極的に採用しています。セコムのような大手では、OBを管理職候補として優遇採用するルートが確立しています。定年後にホワイトカラー職の「再就職支援」で苦労するより、警備業界で高待遇を得る方が現実的なケースも多いです。
自衛官・警察官の経験を持つ方が近くにいるなら、転職相談としてこの記事をぜひ伝えてあげてください。「定年後の選択肢」として、かなり有力な情報のはずです。
「体育会系OB」「格闘技経験者」も評価される業界
自衛官・警察官だけでなく、「体を使う職種からの転身」という観点で評価されるのが、4号警備(身辺警備・ボディーガード)の世界です。
柔道・空手・合気道などの武道の有段者、格闘技の競技経験者、消防士OB。こういったバックグラウンドを持つ方は、4号警備の会社から積極的に声がかかります。4号警備の年収は420〜550万円で、VIPチームへの単発依頼は1日100万円超のケースも(keibinext.jp)。
もちろん「ボディーガードになりたい」という方が全員なれるわけではありません。でも「自分に特殊な体力・武道スキルがある」という方は、一般的なホワイトカラー転職より警備業の方が市場価値が出やすいケースがあります。
こういうバックグラウンドを活かしたいなら、リクルートエージェントのようなエージェントに「4号警備の求人を探している・武道経験あり」と伝えると、特殊なルートで紹介してもらえることがあります。

僕自身は格闘技の経験がないので、4号警備には縁がなかったですが(笑)。でも人材業界で「こんな人材を探している」という相談を受ける中で、「武道有段者でボディーガード候補を」という案件が来ることは確かにあります。案外、求人サイトには出てこない世界です。
警備員のリアルなデメリット4選と人材業界人の正直な評価
ここまでポジティブな話ばかりしてきましたが、デメリットも正直に書きます。「いいことしか書いてない記事」ほど信用できないので。
これを書くのには理由があります。デメリットを知らないまま転職すると「こんなはずじゃなかった」が起きる。入る前に「これは乗り越えられる」「これはちょっと無理」を自分で判断してから動いてほしいんです。
デメリット①:平均年収は全国平均を下回る
厚労省データで354万円。全国平均460万円を約100万円下回ります。特に中小・地方の警備会社では250〜300万円台の現場も多い。「どの会社のどの現場に入るか」で年収が大きく変わるのは事実です。
乗り越え論:特定技能外国人が参入できないことで希少価値が上がっています。DC・空港・原発など高単価セグメントに絞れば、350万円〜が当たり前になります。最初の会社選びと現場選びが、年収の8割を決めます。
デメリット②:夜勤・変則勤務がある
24時間稼働の施設警備では、12時間2交代・16時間勤務・24時間勤務(仮眠付き)などの変則シフトが一般的です。生活リズムが崩れやすく、家族がいる方には特に配慮が必要です。
乗り越え論:12時間×2日勤務の場合、週3〜4日の勤務になります。「休みが多い働き方」として割り切れる方には、むしろ魅力になります。平日昼間だけの現場(交通誘導の一部、施設受付など)も選べます。
デメリット③:有期雇用が多い
約8割が1年更新の有期雇用(リクルートワークス研究所)。「いつ雇い止めになるか」という不安が続く方も多いです。離職率が高い(年間採用2,300人に対して退職1,800人という企業例)のも、この有期雇用体質と無関係ではありません。
乗り越え論:大手警備会社(セコム・ALSOK等)は、実績のある警備員を正社員転換する制度を持っています。「大手の正社員警備員を目指す」というキャリア戦略が有効です。また、警備員指導教育責任者などの国家資格を持っていれば、有期でも更新が途切れることはまずありません。
デメリット④:「誰でもできる仕事」というイメージ問題
社会的な評価が低い職種として長年見られてきたのは事実です。家族や知人に「警備員に転職する」と言うと、反応が微妙なことも多い。

正直、家族に言いにくいんですよね。「警備員になる」って。なんか格下に見られそうで。

わかります。でもコロナ禍でエッセンシャルワーカーの再評価が進みましたよね。警備員はその筆頭です。しかも「DCを守る人」「空港の保安を担う人」と言えば、どんな業種より社会的インフラを守っている。誇れる仕事だと思います。
乗り越え論:コロナ禍のエッセンシャルワーカー再評価、AI時代のセキュリティ重要性の高まり。「誰でもできる仕事」というイメージは確実に変わっています。「DC警備マネージャー」「空港保安検査スペシャリスト」という肩書きは、社会的な説得力を持ちます。
補足:これが「向いている人」と「向いていない人」の判断基準
デメリットを踏まえた上で、「この仕事が向いているか」を自己診断するための基準を書きます。
向いている人:
- 単調な作業でも「慣れればそれほど苦にならない」と思える
- 立ち仕事・歩き仕事が苦ではない(ひどい腰痛や足の問題がない)
- 「誰かを守る」「社会を支える」という仕事に価値を感じられる
- 夜勤シフトや変則勤務を受け入れられる(または昼間固定を選べる現場を狙える)
- 長く安定して働くことを優先したい(転職を繰り返すより腰を据えたい)
- 資格取得への意欲がある(「勉強は嫌い」という方には、キャリアアップが難しい)
向いていない人:
- 「社会的地位」「肩書き」がモチベーションの大きな部分を占めている
- 夜勤が体質的に無理(健康上・家族との時間上で絶対に夜は働けない)
- 「すぐに高収入が欲しい」(警備で年収を上げるには最低でも2〜3年かかる)
- 対人関係が苦手で、来訪者対応や声かけがストレスになる
向いている人の条件に複数当てはまるなら、ぜひ前向きに考えてみてください。向いていない人の条件に当てはまるなら、他のブルーカラー職(電気工事士・建機オペなど)の方が合っているかもしれません。
いずれにせよ、転職エージェントに相談すれば「あなたのバックグラウンドに合った選択肢」を一緒に考えてもらえます。警備員が必ずしも最適解でなくても、「似たような仕事でよりフィットするものを探す」という使い方でいいんです。
稼げる現場と稼げない現場の違い
これ、業界人として最も伝えたい話です。同じ「警備員」でも、現場によって月給が5〜15万円以上変わることがあります。その差を生む要因は主に4つです。
要因①:守る対象の「付加価値の高さ」
データセンター・原子力施設・空港・貴重品輸送。守る対象の社会的・経済的価値が高いほど、警備の単価が上がります。「商店街のイベント警備」と「大手IT企業のDC警備」では、まったく別の市場です。
要因②:複合業務かどうか
「立って見てるだけ」の単純警備と、「受付対応・入退室管理・緊急時対応・記録業務」まで含む複合型警備では、給与が大きく変わります。DC警備がこの典型で、警備プラス管理業務の要素があるから高単価になります。
要因③:資格要件があるかどうか
施設警備業務検定1級・警備員指導教育責任者などの資格保有者を「必置」としている現場は、その分の手当が上乗せされます。資格を持っている人が少ない現場ほど、交渉力が上がります。
要因④:会社の規模と取引先の格
元請け大手(セコム・ALSOK等)→一次下請け→二次下請けという多重構造があります。下に行けば行くほど、中間マージンが引かれて手取りが下がります。可能であれば元請け大手か一次下請け規模の会社を選ぶべきです。
「どこの会社が元請けか」は求人票だけでは判断しにくいので、転職エージェントに「どの会社が元請け大手のアカウントを持っているか」と直接聞くのが近道です。
求人票で確認すべき3ワード
- DC・データセンター:記載があれば高単価現場の可能性大。「施設警備 DC」で絞り込む
- 施設警備1号:区分が明記されているか確認。「警備員」とだけ書いてある求人は業務内容が曖昧なことが多い
- 元請け・直接受注:多重下請け構造を避けるためのキーワード。「元請け案件」と記載のある会社を優先する
「稼げる警備員」を目指すための具体的な動き方
人材業界で採用支援に関わってきた僕が思う、「警備業界で稼げる人になる最短ルート」を書きます。
ステップ1:最初の会社選びで「大手」か「大手の一次下請け」を狙う。
最初の会社が人生を決めるとは言いませんが、警備業では「最初の会社でどんな現場に入れるか」が以後のキャリアに大きく影響します。大手(セコム・ALSOK・東洋テックなど)の採用に挑戦してみてください。採用倍率は一般企業ほど高くないです。
ステップ2:DC案件・空港・大型商業施設を最初の配属先として希望する。
入社後の配属希望を明確に伝えましょう。「施設警備1号で、できればDCか大型施設を希望したい」と言えば、配慮してもらえる可能性があります。黙って待つより、「言った人が動ける」世界です。
ステップ3:入社1〜2年で施設警備業務検定2級を取る。
この資格があると「特殊な知識を持つ専門員」として扱われ、資格手当が上乗せされます。合格率は特別講習経由だと高め。費用はかかりますが、元が取れます。
ステップ4:2〜3年で警備員指導教育責任者を取る。
これが「警備業界のキングオブ資格」です。各営業所1名必置で、持っている人が少ない。この資格を持った段階で、転職市場での評価がガラっと変わります。「この人、どこでも通用する」という扱いです。
ステップ5:3〜5年後に「大手管理職候補」として実績を作る or 転職でステップアップ。
同じ会社で管理職を目指すか、資格と実績を引っ提げて競合大手に移るか。どちらにしても、ここまで来たら「警備員の平均354万円」という数字は関係なくなります。

10年この業界にいて思うのは、「最初の現場選び」と「最初の資格取得」のタイミングで、その後の10年が決まるケースがほとんどだということです。面倒に思えるかもしれませんが、1〜2年早く動くだけで、年収が100万円近く変わることがあります。
関連記事:ブルーカラーで本当に稼げる職種・稼げない職種の見分け方も参考にしてみてください。警備員と並んで「今熱いブルーカラー職」の比較表を載せています。
警備員から先のキャリアは?指導教育責任者→管理職→独立
「警備員は一生警備員」というイメージがありますが、実は先のキャリアの選択肢は意外に広いです。
ルート①:管理職・支社長コース
警備員指導教育責任者→現場責任者→管理職→支社長・営業所長。大手では600〜800万円のラインを超える管理職ポジションがあります。警備業界は管理職の人材不足も深刻で、実績と資格があれば早期昇進できるケースも多いです。
特にセコム・ALSOKのような大手では「現場警備員→管理職→部長クラス」という社内昇進ルートが整備されています。学歴関係なく、「現場実績+資格」で昇進できる数少ない業界の一つです。
ルート②:独立・起業コース
警備業を営むには警察署への認定申請が必要ですが、起業の難易度としては飲食業・建設業と同程度です。地方では競合が少なく、国土強靭化工事の発注先として安定受注できる構造があります。「10年で独立して地元に根を張る」というルートは、地方で食っていく手段として現実的です。
独立には「警備業認定申請」(警察署への届出)が必要ですが、資本金の制限は比較的緩く、設備も少ない。国土強靭化工事の発注先として地元の建設会社から継続受注できる構造は、地方独立のビジネスモデルとして機能します。
ルート③:セキュリティコンサルタントコース
警備の現場経験+企業のリスク管理・BCPアドバイザリーへの転換。大企業のセキュリティ部門や、コンサルティング会社のセキュリティ部門への転職ルートです。資格としては「セキュリティプランナー」などの民間資格が加点になります。
AI時代のサイバーセキュリティと物理セキュリティを両方語れる人材は希少です。警備現場で「AIカメラの管理」「不正アクセス対応」の経験を積んだ後、「物理+デジタルのセキュリティコンサル」というニッチで高単価のポジションを狙う人も増えています。
ルート④:他のブルーカラー職種へのスライド
警備で現場仕事の経験を積んだ後、電気工事士・建設機械オペレーター・配管工などへ転換するケースもあります。「現場で動く仕事に慣れた」という経験が土台になります。特に「電気工事士×セキュリティシステム」の組み合わせは、DC系の現場で需要が高まっています。
ブルーカラー職全体のキャリア設計については、ブルーカラーのAI時代の生存戦略(post 1678)もあわせて読んでみてください。溶接工・鉄筋工・建機オペなど、高需要の職種ごとの詳細も書いています。
- 溶接工のAI時代の生存戦略(造船・防衛バブルの全貌)
- 鉄筋工のAI時代の生存戦略(建設躯体倍率10倍の現実)
- 建機オペのAI時代の生存戦略(コックピット職という生き残り方)
「警備員からのキャリア」で人材業界人が一番おすすめするルート
正直に言います。警備員として入って「一生警備員」で終わっても、現在の業界環境では十分に食えます。需要は増えており、高単価現場は増え続けている。でも「もっと稼ぎたい」「キャリアアップしたい」という方への、個人的な推薦ルートを書いておきます。
僕が最もおすすめするのは「大手の施設警備1号→DC案件→指導教育責任者→大手管理職」です。
理由はシンプルで、このルートが最も「市場価値が積み上がる速度が速い」からです。DC案件の経験は希少です。指導教育責任者は供給が少ない。この2つを組み合わせた人材は、業界内でかなり重宝されます。
「それって特別な人だけができることじゃ?」という反論があるかもしれませんが、そうではないんです。警備業界は「特別な能力」より「継続性と資格取得への意欲」で評価される業界です。3年間まじめに現場に立って、資格試験を2〜3本取れば、このルートに乗れます。学歴も前職経験も関係ない。これが、警備業界の最大の魅力だと僕は思っています。

転職エージェントに「警備員に転職したい」って言ったら、変な顔されませんか?

リクルートエージェントやUZUZのような大手は、警備職への転職相談に普通に対応してくれます。変な顔はされないです。「DC案件を希望したい」「大手の正社員で入りたい」と条件を伝えれば、その軸でリサーチしてくれます。むしろ、個人で求人票を探すより、エージェント経由の方が良い情報を持ってます。
「どのエージェントを選べばいいか分からない」という方は、AI失業組向け転職エージェントランキングを参考にどうぞ。警備職・ブルーカラー職への転職に向いているエージェントを、条件別に整理しています。
よくある質問(FAQ)
Q1:60代・未経験でも本当に採用される?
採用されます。むしろ業界として「採用しないと現場が回らない」状態です。
警察庁「令和6年における警備業の概況」によると、70歳以上の現役警備員が122,919人(全体の20.9%)います。60歳以上が全体の47%。業界として60代・70代が現役で働くことが前提になっています。
ただし、業務区分の選択は重要です。交通誘導(2号)は体力的に厳しい現場もあります。60代以上で未経験なら、施設警備(1号)の中でも室内常駐型(DC・オフィスビル・病院)を選ぶと働きやすいです。
転職エージェントに「60代・未経験・体力への配慮あり」と正直に伝えれば、現場のマッチングをしてくれます。「年齢的に無理」と諦めるより、まず相談することが先決です。
Q2:資格なしだといくら稼げる?
資格なし・未経験でのスタートは月20〜25万円前後が相場です(正社員・手当込み)。年収換算で250〜300万円台。
ただし、大手警備会社のDC案件など「高単価現場」に入れば、未経験でも月28〜30万円以上というケースがあります。入り口が同じでも、どの現場を選ぶかで年収が50〜100万円変わります。
資格取得後のアップ幅は、施設警備業務検定2級で月+1〜2万円、警備員指導教育責任者で月+2〜5万円が目安です。「資格なしの給料に不満があるなら、さっさと資格を取る」というのが一番の解決策です。
Q3:警備員はAIに仕事を奪われる?
「完全に奪われる」可能性は、警察庁省力化計画(〜2029年)の射程では、ほぼ考えにくいです。
理由は警備業法です。警備員には「不審者への制止権限」という法的権限があります。この権限はロボットやAIに与えられていません。法律が変わらない限り、この部分は人間にしかできない仕事です。
また、AIカメラ・巡回ロボットが普及するほど、その「監視・保守・異常時対応」に当たる人間の警備員が必要になります。警察庁のデータでも機械警備施設は前年比+5.9%増(342万施設)。AI導入で警備員の需要が増えるというのは、数字でも証明されています。
むしろ「AIを使える警備員」「機械警備システムを管理できる警備員」の価値が上がっています。AI時代に「奪われる側」ではなく「AIを管理する側」に立てる職種の一つが、警備員です。
Q4:ブラック会社の見分け方は?
警備業界でブラック会社に引っかからないためのチェックポイントを4つ挙げます。
①求人票の「月収」が水増しされていないか確認する。「月収30万円以上可」と書いてある場合、「残業代・各種手当・深夜手当を全部合わせた最大値」のケースがあります。基本給と各手当を分解して確認しましょう。
②法定研修(新任20時間)がきちんと実施されているか確認する。法定研修を削る会社は、他のコンプライアンスも甘い可能性が高いです。「研修なしでいきなり現場」はアウトです。
③有期雇用の更新条件が明確かどうか確認する。「状況次第で更新」という曖昧な表現は危険。更新の基準が書面で示されていることを確認しましょう。
④口コミサイト(転職会議・OpenWork等)で「残業代が払われない」「研修がない」「1人現場で緊急時に連絡がとれない」などの記載がないか確認する。警備業界は多重下請け構造なので、実際に現場を管理している会社の口コミを見ることが重要です。
転職エージェントを使えば、「この会社のDC案件はきちんと法定研修をしているか」「有期→正社員転換率はどれくらいか」という情報を事前に確認してもらえます。ひとりで応募するより、エージェント経由の方がミスマッチを防げます。
👉 reskill-flow 16職種目:建設躯体工事の有効求人倍率9.38倍(全職業1.22倍の7.7倍)・大阪平均年収852万円・独立棟梁1,000〜2,000万円・DC建設1兆円超×国土強靭化20兆円×TSMC2.1兆円×ラピダス7兆円×防衛8.4兆円の5本バブル同時着火、AIが代替できない高所職人「鳶職人」のリアルを「鳶職人はAI失業組の「現場の花形」|求人倍率9.38倍・独立棟梁2,000万円・DC建設で需要爆発、人材業界10年が読む現場の真実」にまとめました。電工・HVAC・配管・鉄筋工・建機オペ・溶接工・警備員と並ぶ現場系の、独立で2倍狙える職人ルート。
👉 reskill-flow 17職種目:解体工事職人の有効求人倍率3.61倍(建設躯体9.38倍)・解体市場1.15兆円・アスベスト解体2028年ピーク(280万棟)・空き家849万戸の固定資産税6倍化・旧耐震1,588万戸建替え・DC建設×老朽インフラ更新の6本バブル同時着火、独立社長1,500万超のリアルを「解体工はAI失業組の「2028年バブル前夜」|求人倍率3.61倍・独立1,500万・アスベスト解体ピーク、人材業界10年が読む現場の真実」にまとめました。鳶・鉄筋工・溶接工と並ぶ建設躯体系の、2028年バブル前夜の選択肢。
まとめ――人手不足が続くうちに動くのが正解
改めて整理します。
警備員は今、3つの意味で「AI失業組の安全地帯」です。
①参入障壁が低い。新任研修20時間、年齢制限なし、学歴不問。60代未経験でも今日から動けます。
②外国人に奪われない。特定技能制度の対象外で、国内人材の希少価値が守られています。
③AIで需要が増える。機械警備施設は前年比+5.9%増。AI導入で人間の警備員の仕事は減らず、むしろ増えています。
その上で、2025〜2030年はDCバブル・国土強靭化15兆円・万博・インバウンド復活という4つの需要バブルが重なっています。求人倍率は6.70倍(全職業平均1.1倍の約6.1倍)。「早く動いた人が良い現場を取れる」状況です。
正直、デメリットもあります。平均年収は354万円で全国平均を下回ります。有期雇用が多く、夜勤・変則勤務もある。でも高単価セグメント(DC・空港・原発)に絞り、資格を取ってキャリアを積めば、5〜7年で年収500万円超は現実の射程圏内です。
「怖いと感じてるうちは、まだ間に合います。本当にヤバいのは、何も感じないまま何もしないことです。」
まず自分の市場価値を確認するところから始めてみてください。転職するかどうかは後で決めればいい。まずは「自分が警備業界でどう評価されるか」を知るだけで十分です。登録は無料で、5分で終わります。
ぽんこつ先輩のまとめチェックリスト
- 保安職の有効求人倍率:6.70倍(全職業平均1.1倍の約6.1倍・警察庁省力化計画令和7年9月時点)
- 60歳以上の警備員:47%。70歳以上:20.9%(年齢制限なし)
- 機械警備施設:+5.9%増(AI導入で需要増)
- DC警備マネージャー:年収500万円超
- 万博警備:数千人規模動員・時給2,000円超〜2,500円台
- 特定技能外国人:警備業は対象外(国内人材が希少)
- 国土強靭化5ヵ年加速化対策:15兆円(2021〜2025年度)+次期計画約20兆円(2026〜2030年度)で2号警備需要直撃
AI失業を心配している方へのより広い視点は、AI失業完全ガイドをご覧ください。転職エージェントの選び方については、AI失業組向け転職エージェントランキングも参考になります。
転職の第一歩は「相談」から。無料で動けます
「警備員に転職したい」「でも自分に合った現場が分からない」という場合、転職エージェントに相談するのが一番の近道です。
自分ひとりで求人票を見ても、「この会社がDCの元請けかどうか」「有期→正社員転換率がどれくらいか」という情報は分かりません。エージェント経由なら、その情報を踏まえた上で紹介してもらえます。
警備職への転職実績が豊富で、年齢・経験を問わず相談しやすいエージェントを2社紹介します。どちらも登録・利用は完全無料です。
国内最大級の求人データベースを持つリクルートエージェント。警備職・ブルーカラー職の求人数も豊富で、「DC案件を探したい」「大手警備会社に絞りたい」といった希望にも対応してくれます。転職するかどうか迷っている段階でも、相談だけで大丈夫です。
UZUZは未経験・第二新卒・フリーター経験者への転職サポートに強みを持つエージェントです。「警備員は未経験だけど大丈夫?」「30代・40代でも受かる?」という不安を持ちながら動きたい方に向いています。個別面談で、自分の状況を丁寧にヒアリングしてくれます。
どちらも「まず話を聞いてもらう」だけでOKです。登録してすぐに転職を決める必要はありません。自分の市場価値を知るだけで、次の動きが見えてくるはずです。
