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読者
ぽんこつ先輩
AIが事務職を代替し始めた2024年以降、「60代・未経験で警備員になれますか?」という相談が増えています。定年後、あるいは早期退職後の次の仕事として警備員を選ぶ人が、僕の周りでも目立って増えてきました。
ただ、ネット上の情報は「未経験でもなれます!」という薄い記事か、反対に「地獄です」という愚痴の書き込みばかりで、60代がリアルにどう感じたかを5,000字以上で書いた記事はほとんどありません。
この記事では、僕が転職支援した相談者のAさん(62歳・元事務職)が警備員になってから3ヶ月、6ヶ月、そして1年後に何を感じたかを、時系列で追います。きれいごとは書きません。
結論(時間ない人向け)
- 60代未経験でも警備員にはなれる——有効求人倍率6.7倍の売り手市場で、60歳以上が全体の47%を占める業界。同世代だらけの現場も多い
- 最初の3ヶ月はきつい——体力より「生活リズムの崩れ」と「給料が思ったより低い」が本音のダメージ
- 現場選びで天と地ほど違う——屋外の交通誘導と施設警備(室内常駐)では、体力消耗も待遇も別物
- 6ヶ月以降は「慣れ」が来る——Aさんは6ヶ月目から「思っていたよりいい」と言うようになった
- AIに仕事を奪われない数少ない職種——制止権限は法律で人間専用。機械警備が増えても有人警備の需要は落ちていない
「やれるか・続くか」という不安への答えは「やれる。ただし現場選びが全て」です。Aさんのケースを時系列で追いながら、どう選び、どう乗り越えたかを解説します。
なぜ60代で警備員を選んだのか——転身の動機
Aさんは長年、中堅メーカーの経理・総務部門で働いてきた人です。57歳のときに会社が業務のデジタル化を加速させ、経理の一部業務がシステムに置き換えられていきました。同期が数人、早期退職優遇制度を使って辞めていく中で、Aさんも62歳のタイミングで退職を選びました。
「AIが出てきてから、何か自分がやれることが減っていく感覚があった」とAさんは当初の相談でそう話していました。書類作成も集計も、気づけば若い担当者がツールで1時間でやれることを、自分は半日かけてやっていた。その焦りが積み重なって、「会社にいる理由が薄くなってきた」と感じたそうです。
警備員を選んだ理由はシンプルでした。「体を動かせる仕事であること」「夜でも働けること」「資格がなくても始められること」の3つ。事務職一筋で来たAさんにとって、手に職のつく仕事に転換するには時間も余裕もなかった。「まず食べていける仕事を確保してから考える」という現実的な判断でした。
60代・未経験でも警備員になれる理由——採用側の本音
結論から言うと、60代は「歓迎」される側です。業界全体の慢性的な人手不足が、60代の採用ハードルを極端に下げています。
📊 警備業界の年齢構成データ(警察庁 令和5年版 警備業の概況)
- 警備員全体のうち60歳以上が47%——ほぼ半数が同世代
- 70歳以上も20.9%——70代でも現役で働いている人が5人に1人
- 有効求人倍率は6.7倍(全業種平均の約5倍)——「選んでもらえる立場」で探せる
採用担当者の本音を言うと、「若い人より60代の方が長く続く」という感覚があります。20代は半年で辞めることも多い。60代は「ここで働き続ける」という腹が決まっている人が多く、現場のリーダーから「40代より扱いやすい」という声も聞きます。
法定研修20時間で「無資格のまま」現場へ
警備員になるために事前に取得が必要な資格は、原則ありません。採用後に受ける法定研修(警備業法に定められた20時間)を修了すれば、正式な警備員として現場に立てます。
Aさんも採用から研修修了まで約2週間で完了しました。研修の中身については後述しますが、「難しくて落ちた」という話はほぼ聞きません。修了試験はあるものの、丁寧に教えてもらえれば60代でも問題なく通過できます。
入社1ヶ月目——法定研修20時間の中身と意外に難しかった点
Aさんが入社したのは2024年の春です。関東郊外の中堅警備会社で、施設警備(事務所ビルの受付・巡回)の配属でした。最初の2週間は法定研修に費やしました。
📋 法定研修20時間の主な内容
- 基本教育(15時間)
- 警備業法・憲法・刑法の基礎、礼節・護身術の基本、緊急時の対応手順
- 業務別教育(5時間)
- 施設警備なら受付応対・巡回の方法・異常報告の手順。交通誘導なら旗の使い方・誘導手順
- 修了試験
- 筆記+実技。基本を押さえていれば問題なし
Aさんが「思っていたより難しかった」と言っていたのは護身術の実技でした。「膝が痛くて正座ができない」「受け身が取れない」という問題が出てきたそうです。ただ、この点は担当指導員に事前に申告すれば柔軟に対応してもらえます。Aさんの場合は「できる範囲でやればいい」と配慮してもらいました。
もう一つ意外だったのが「ホスピタリティ」の要求水準でした。施設警備は来訪者対応がある現場も多く、「研修で礼儀作法をここまで教えるとは思っていなかった」とAさんは笑っていました。元事務職のAさんには、むしろ得意分野だったようです。
入社3ヶ月——正直きつかった6つのポイント
Aさんから「ここはきつかった」と聞いた話を、正直にまとめます。美化しません。
① 夜勤の睡眠サイクル崩壊
Aさんが配属された現場は、日勤と夜勤が交互に来るシフトでした。「昼番の次の日に夜番が来ると、体が全くついていかない」と1ヶ月目に相談がありました。特に60代は回復に時間がかかるため、夜勤明けの疲労感が翌々日まで残ることもあったそうです。
これは「夜勤のない現場を最初から選ぶ」ことで大きく改善できます。日中固定の施設警備(病院・オフィスビル・商業施設)であれば夜勤はありません。Aさんのケースは入社後3ヶ月で夜勤なし現場に異動を申し出て、4ヶ月目から改善しました。
② 外勤(交通誘導)配置の暑さと寒さ
入社直後の2週間、人員不足で交通誘導に回されたことがあったそうです。真夏の炎天下でフラッグを持ちながら立ち続ける仕事は、「20代でもきつい」とAさん。「あれが毎日だったら続かなかった」と断言していました。
施設警備と交通誘導は同じ「警備員」でも、体力消耗が別物です。応募時に「屋外の交通誘導はNG」と条件を出すことは十分可能です。求人票の「業務内容」欄を必ず確認しましょう。
③ 12時間拘束という時間の長さ
施設警備の多くは「日勤8時〜20時」「夜勤20時〜翌8時」の12時間シフトが一般的です。休憩は2〜3時間取れる現場が多いものの、12時間拘束という事実は変わりません。「事務職の定時8時間と比べると、精神的な長さが違う」とAさんは言っていました。
④ 最初の給料が想像より低かった
これが一番「思ってたのと違った」という反応が大きかった点です。Aさんの初月給与は手取りで約16万円。「事務職時代の半分以下」という現実は、精神的にかなりこたえたそうです。
ぽんこつ先輩
ただし、これは「入口の給料」です。夜勤手当・資格手当・経験加算で徐々に上がります。Aさんの場合、施設警備2級の資格を取った時点で月給が約2万円上がりました。
⑤「何もない時間」が長い——向き不向きが分かれる
施設警備は、来訪者がいない時間帯は「待機」になります。この「何もしない時間」が苦手な人は向いていません。Aさんは「最初の1ヶ月は、この時間の使い方に戸惑った」と言っていました。本を読んだり、資格の勉強をしたりと、過ごし方を自分で決める必要があります。
⑥ 想定外のクレーム・トラブル対応
「警備員は立っているだけ」というイメージを持っている人は多いですが、現実は違います。来訪者とのトラブル対応、不審者への声かけ、設備の異常報告など、判断が必要な場面は意外と多い。「何も考えなくていい仕事と思っていたので、最初は戸惑った」とAさんは振り返ります。ただこれは、事務職での対人対応経験が活きる場面でもありました。
入社6ヶ月——「慣れた」瞬間と給料の変化
転機は6ヶ月目でした。「ある日、仕事に行くのが苦ではなくなっていた」とAさん。「つらい」から「普通」に変わる瞬間が来たそうです。
夜勤のない現場に異動できたことが大きかったと思います。朝7時〜16時の日勤固定シフトで、体のリズムが安定しました。「毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる生活が、自分には合っていた」とAさんは話していました。
給料は6ヶ月目の時点で手取り約18万円。夜勤なしの現場では夜勤手当がない分、最初より若干下がる場合もあるのですが、Aさんの現場は日勤のみで月20日稼働・手取り17〜18万円というバランスに落ち着きました。「60代の再雇用と同水準くらい。贅沢はできないけど生活できる」という評価でした。
📈 Aさんの給与推移(手取りベース・概算)
- 1ヶ月目:約16万円(夜勤あり現場・研修控除あり)
- 3ヶ月目:約17万円(安定稼働・夜勤手当加算)
- 6ヶ月目:約18万円(夜勤なし現場に異動・シフト固定化)
- 1年目:約19万円(施設警備2級取得で資格手当加算)
60代が選ぶなら施設警備をおすすめする理由
Aさんのケースを踏まえて、60代未経験が警備員として長く続けるためのポイントを整理します。答えは「施設警備・室内常駐型」の現場を選ぶことです。
🎯 60代が現場を選ぶときの4つのポイント
- 屋内か屋外か
交通誘導(屋外)は気候の影響をもろに受ける。施設警備(屋内常駐)は雨風に関係なく勤務できる - 夜勤が選べるか
「日勤のみ希望」が通る会社を選ぶ。求人票に「日勤固定あり」の記載があるか確認する - 現場の雰囲気を事前に確認できるか
見学や体験入社ができる会社は信頼できる。60代歓迎と書いてあっても、現場に行ってみると全員20代、ということもある - 資格取得のサポートがあるか
施設警備2級・指導教育責任者の研修費用を会社が負担してくれるか確認する。資格手当が昇給に直結する
特にデータセンター(AI開発用の大型コンピュータ施設)や病院・オフィスビルの施設警備は、室内常駐で体力消耗が少なく、60代が長く続けやすい現場です。近年はAI開発の需要を背景にデータセンターの建設が全国で急増しており、施設警備の仕事は都市部を中心に増えています。
3年後を見据えた資格取得の考え方
「資格は後でいい」と考える人も多いですが、警備員の場合、資格が直接昇給に連動する仕組みになっています。Aさんは6ヶ月目から施設警備2級の取得を目標にして、1年で取得しました。資格の詳しいロードマップや年収の変化については、こちらの記事で解説しています。
🗓️ 60代の現実的な資格取得ロードマップ
- 0〜6ヶ月目:法定研修修了・現場慣れを最優先。資格より「続ける」ことが目標
- 6ヶ月〜1年目:施設警備業務検定2級を目指す。会社が研修費を負担するケースが多い
- 1〜2年目:施設警備業務検定1級、または指導教育責任者(管理職への入口)
- 3年後〜:現場リーダー・班長職へ。後輩の指導役として月給25万円超の現場も出てくる
データセンター警備・空港保安で年収500万円を60代が目指せるか
「年収500万円」は、標準的な施設警備員では難しい数字です。正直に言います。ただ、高単価の現場に特化すれば、60代でも射程に入ってきます。
AI開発のブームを背景に、国内のデータセンター(AI処理を行う大型コンピュータ施設)の建設・増強が続いています。データセンターは24時間365日の警備が必要な施設で、セキュリティ要件が厳しく、有人警備の需要が特に高い現場です。時給は一般の施設警備と比べて200〜400円高く設定されているケースが多く、夜勤も厭わない場合は年収400万円台も現実的です。
空港保安検査員(手荷物X線検査などを行う)は、大手転職サービスの公開求人で年収500万円台のポストが見られることもあり、業界内では60代の採用事例も聞きます。ただし英語対応力が求められる現場もあるため、純粋な施設警備からのステップアップには、まず経験と資格の積み上げが前提になります。
ぽんこつ先輩
よくある不安と疑問——Q&A
読者のリアルな疑問、ここで全部答えます
「60代でも本当に採用される?」「体力的にもつ?」「夜勤は避けられる?」「AIに仕事を奪われない?」——警備員への転身を考える人が必ず引っかかる疑問を、ぽんこつ先輩(人材業界20年)が現場目線で全部答えます。
ぽんこつ先輩
Q. 62歳でも本当に採用してもらえますか?
はい、採用されます。警備業界は全体的に60代が歓迎される業界で、70歳以上でも現役で働いている人が全体の20.9%います。ハローワーク・求人サイトを見ると「60代活躍中」「シニア歓迎」という表記は珍しくありません。ただし「体力がある程度伴う仕事」であることは正直に伝える必要があります。応募時に「屋内勤務を希望」「夜勤は避けたい」と条件を明示してから選ぶのがベストです。
Q. 体力的に何年続けられますか?
現場によります。屋外の交通誘導を選ぶと60代後半では厳しくなる方も出てきます。一方、室内常駐の施設警備であれば70歳以上でも続けている人が多く、「体力の問題で辞めた」というより「他の事情で辞めた」ケースの方が多いです。最初から施設警備の中でも「歩き回りが少ない現場」を選べば、70歳くらいまで続けやすいと思います。
Q. 夜勤は絶対に避けられますか?
避けられます。ただし、会社と現場によります。「日勤のみ希望」を最初の条件として伝え、それが通る会社・現場を選ぶことが前提です。最初から「日勤固定」と明記されている求人を選んだ方がスムーズです。入社後に夜勤なし現場への異動を申し出ることも不可能ではありませんが、Aさんのケースでは3ヶ月かかりました。
Q. 給料はいくらくらいですか?
地域・現場・夜勤の有無によって差があります。東京・神奈川などの都市部で施設警備(夜勤あり)なら、手取り月22〜25万円前後も狙えます。夜勤なし・地方だと手取り16〜18万円が現実的なスタートラインです。資格(施設警備2級・指導教育責任者)を取ることで月2〜5万円の資格手当が加算されるケースが多く、入口の低さがずっと続くわけではありません。
Q. AIに仕事を奪われないか心配です
「奪われない」と断言できる根拠がある職種の一つです。警備業法上、「制止」「排除」などの実力行使を伴う警備行為は人間にしか認められていません。カメラ・センサーによる機械警備は確かに増えていますが、実際には機械警備の増加とともに有人警備の需要も拡大している、という逆説的な状況が続いています。機械が「異常を検知」しても、対応するのは人間の警備員です。AIが増えれば増えるほど、守るべきデータセンターや施設が増え、警備員の需要も一緒に増える構造になっています。
まとめ——マイナスを認めた上で、Aさんが1年後に言ったこと
Aさんが入社から1年が経ったときに連絡をくれました。「思っていたよりは続きました。最初の3ヶ月は正直しんどかったです。でも今は、職場に行くのが嫌じゃないです。これって、前の会社でいつも感じていた『行きたくない』という気持ちよりは、ずっとましかな、と」という言葉でした。
きれいな成功談ではありません。給料は確かに下がりました。体もしんどい日はあります。でも「次の朝に起きるのが億劫ではない職場」を60代で見つけられたことは、Aさんにとってかなり大きいことだったと思います。
警備員は誰もが「理想の仕事」とは言わないでしょう。でも60代が未経験から現実的に続けられる仕事として、今この瞬間の市場環境ではかなり上位に来る選択肢だと、僕は正直思っています。
もし「やってみようか」という気持ちが少しでもあるなら、まず求人を見るところから始めてみてください。登録は無料で、今の自分の市場価値を知るだけでも十分に意味があります。
🗓️ シンプルなアクションプラン
- 今日中にできること:ハローワークまたは転職サービスで「施設警備・60代歓迎」の求人を3件以上見る
- 今週中にできること:気になる会社に応募する(書類選考は通りやすい)。「夜勤なし希望」「屋内勤務希望」を明記する
- 1ヶ月後:法定研修を修了し、現場に立つ。最初の現場は「合わなければ異動できる」という心構えで入る
- 6ヶ月〜1年後:施設警備2級の取得を視野に。会社の費用補助を確認する
ぽんこつ先輩
転職サービスを使った方がいい理由
60代が警備員の仕事を探すとき、ハローワークだけでなく転職サービスを並行して使うことをおすすめしています。理由は2つです。
1つ目は、転職サービスには「シニア歓迎・夜勤なし・施設警備限定」という絞り込みができる求人が多いこと。ハローワークだとこの粒度の条件設定がしにくい場合があります。2つ目は、担当者が「この現場は60代が多い・少ない」という情報を持っていること。Aさんも転職サービス経由で「60代が8割の現場を紹介してもらった」ことが、入社後の馴染みやすさに直結しました。
リクルートエージェント(業界最大手の転職サービス)
<求人数・全業種最大規模>60代の施設警備・シニア歓迎求人を幅広く探したい人に。求人数が業界最大級で、「夜勤なし」「屋内勤務」「60代歓迎」などの条件で絞り込みやすいのが強み。担当アドバイザーに年齢・希望条件を正直に伝えれば、合った現場を紹介してもらいやすい。登録は無料で5分で完了します。
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